満足感のある授業
授業評価って、いろいろあるけど、受講者が「この授業を受けて満足しましたか?」という質問にたいして「大変満足」と答えてくれるのが、「満足感のある授業」ということになるのだと思う。予備校の先生的な立場で考えるってことなのかな。それで、大学の「情報処理」の授業に対する学生からのアンケート結果に芳しくないものが多いのは、「満足感」を与えることがうまくできてないからだと思う。では、その「満足感」って何だろう…。
最近僕は某所で「お持ち帰り感覚」みたいなものではないか、という話を始めている。これは「授業を受ける前には無かった知識や技能が入っている」ということである。
高校程度では「意欲・関心・態度」を評価観点にすることが多いが、大学の場合は「知識・技能」が学生を評価するときの基準になる。つい数カ月前まで高校生だった彼らも、大学入試は「知識と技能を問う場所」であることはよくわかっている。
僕がクラスを持っている東京大学理科I類の場合、学生は「自分たちは、ある程度の知識を持っている」という自意識を持っている。この自意識が逆に邪魔をして、「たいしたことがないように見える(しかし、我々から見ると重要な)知識を知ること」にたいして、過小評価が起こってしまうのだろうと思う。ということは、「お持ち帰り感覚」を実感してもらうには、「小さな知識が大きな役割を果たす応用例」を取り上げることも欠かせない。RSA公開鍵暗号のような例を説明すればいいかなぁ。あるいは、2分探索がいいかなぁ。
一方、以前授業を担当していた某大学の場合は、学生たちに「自分たちは、入試を突破して大学生になった」という自覚がなく、それゆえに、知識や技能をありがたがる態度が、最初から存在しない。だから、「お持ち帰り感覚」を持ってもらうには、「その知識が役に立つこと」をわかりやすく説明することも欠かせないと思う。たぶん、危機管理的な話、コンピュータウイルスの仕組みの知識などを知識としてもらうのがいいように思う。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント