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2005年9月27日 (火)

授賞したらしいです。

「情報倫理ビデオ教材Part II」ですが、ありがいことに acm siguccs の Communication Awards の 2005 second prize を頂いたらしいそうです。というか、向うから「やっぱり取消」という連絡が来ないまま授賞式を迎えられれば、「らしい」は取れ、 ここ↓に載るはずです。
http://www.siguccs.org/competit.htm

これもひとえに、撮影に御協力を下さったみなさま、特にacm siguccs に応募する作業で中心的に動いて下さった鹿児島大学山之上先生の御尽力の賜です。

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2005年9月26日 (月)

家で予習・復習・宿題をすることは授業の一部なのか?

昨日の著作権法と学校教育の文章を見ながら、追記をして気がついた。「第35条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供する(後略)」とあるのだが、先生が宿題を出した場合、著作物の複製を自宅に持って帰って宿題を行なうことは可能なのだろうか?そういえば、大学では90分の授業しか受けてないのに4単位になるよね。あれは、予習・復習とかが組み込まれているからだって聞いたことがあるぞ。それが認められているってことは「授業の一部」って解釈してもいいのかな…。

だれか、教えて下さい。素朴な疑問。

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2005年9月25日 (日)

教科書・試験問題における著作物の利用の二次利用

アサヒコムの本日発信の記事に著作権管理団体である「株式会社・日本ビジュアル著作権協会(JVCA、曽我陽三理事長)」の会員の作家の作品が、学校現場で非常に使いにくくなってきているという話が出ている。

http://www.asahi.com/life/update/0925/003.html

仕組みはこうだ。

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●教育現場に文章を送り出す側の事情

1-a. 大学などが作家の作品を入試に使う。これは著作権法36条で「事前許諾不要、補償金不要」で利用できる。

1-b. 教科書会社が作家の作品を検定教科書に載せる。これは著作権法33条で「事前許諾不要、補償金必要」で利用できる。

●文章を送り出された教育現場の事情

2-a. 入試問題集などを出版する出版社は、業界団体と契約をしない限り、本来は利用できないが、従来は暗黙の了解状態で利用されてきていた。

2-b. 学校での期末試験問題などは、教科書を一部利用して問題を作ってきた。

●コンプライアンス(遵法)の浸透による変化

3-a. 2ちゃんねるなどの通報系メディアが浸透してきたことでマスメディアも通報主義に走り、マスメディアが微罪を大きく報じるようになってきた。

3-b. インターネットを利用した著作物の海外からの監視が常態化し、著作物の利用への注意意識が向上してきた。

●社会の変化

4. 作家側の知的財産の経済的価値に対する意識が変化してきた。また、最近の税制の変化などに象徴されるように、所得の2分化が始まり、「勝ち組作家」になりたい作家も増えてきた。(例えば、当該アサヒコムの記事の松谷みよ子氏の発言。)

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以下に私見を述べる。

権利者が「入試問題に使われることは名誉、教材に使われることは不名誉」と主張しても、僕には「入試問題にタダで使われることも防ぎたいが、法律があるので渋々認める。教材にタダで使われることは法律で防げる。使わせないのではなく、お金をもらうことが重要」と聞こえる。ゴチャゴチャいわんと短くいえば「名誉より金」という作家・出版社側の狙いと写る。

ところで、例えば「Aさんの詩は、入試問題正解集で読んだから、本を買わなくてもいいや。」なんて受験生が考えるだろうか?むしろ、「入試問題正解集で真剣に読んだら感動したので、大学生になったら本を買って読んでみよう」というのが普通だろう。

もし、ある受験生が来年受験したいX大学で谷川俊太郎(JVCA会員)の詩が出て、入試問題集を買ったら【この部分は谷川俊太郎の『〓〓〓』が全文掲載されていますが、著作権法の規定とJVCAとの取り決めにより、本問題集には掲載できません。】と書かれていたら「谷川俊太郎の作品なんて二度と買うもんか!」と怒りながら、その受験生は古本屋か図書館を利用するに違いない。

ということで、入試問題に関わる方にお願いがある。かかる著作権管理団体の会員の作品は入試に使わないようにして頂きたい。入試問題に文章が必要なら、死後50年を越えた作家のものを選ぶか、文学部の先生に書き下ろしてもらえばよい。フリー文書で、そのように使えるものもあるに違いない。

さらに、教科書製作会社のみなさんにもお願いがある。かかる著作権管理団体の会員の作品は教科書に掲載しないようにして頂きたい。教科書に文章が必要なら、教育活動における「避け難い著作物の利用」(例えば学校での定期試験追記参照)を無償で認める作家の作品を利用すればよい。

入試に使われた文章が入試問題集に使われ、あるいは、教科書に使われた文章が定期試験で使われることで、僕は、小学生から高校生の間、その文章を真剣に読んできた。もし、「作家の本を買わないと試験対策ができない」あるいは「問題集は著作権料の支払が済んだ高価な本である」という状況だったら、まずしかった我が家は国語の期末テスト対策も入試対策もできなかっただろう。教科書とテストと入試問題集と入試問題で触れることで、大人になって、その作家の本を買ったり読んだりするようになったのである。

「子ども達に限り、私の作品の一部を真剣に読む機会を、私は無償で提供する」という姿勢の作家が一人でも多く増えて欲しい。大人になった僕は、そんな作家の本なら、新刊で、書店で買いたい。

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【追記】「学校での定期試験」は、もともと35条Okでした。うっかりしてました。試験対策として、先生自らプリントを作成して、生徒に配布して授業後に回収しないと、現行法ではまずいような気がしますね。それを無償で認める作家の作品であると分かっていたら、配布して回収せずにすみます。

それから、塾や予備校や参考書の扱いとか、微妙ですね。

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2005年9月24日 (土)

blog引っ越してきました

最近漸く、ココログも動作が早くなってきたので、blogを引っ越すことにしました。古い方のblogサイトは過去記事の一斉ダウンロードができないので、過去記事はボチボチ移します。

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2005年9月23日 (金)

一般情報処理教育の今後

神戸大学の望月さんのblog(URLはなぜか東京大学にある)に、僕が、学術及び総合情報処理センター 研究交流・連絡会議(佐賀大学)で発言した内容が記されている。

http://tree.ep.u-tokyo.ac.jp/archives/2005/09/post_35.html

「辰巳→辰己」という相変わらず多い間違いは別として、僕のいいたいことが概ね正確にかかれていると思う。

実はちょうど同じタイミングで、関西にある、とある私立大学のA先生からメールが来て、いろいろ情報交換をしていたら、その大学は「来年度から必修の情報 リテラシーの授業は全廃する」ということを知った。ある意味、正しい選択だと思う反面、今の高校でやってこないであろう部分に絞って取り組んでみてもいい のでは?と返信したところ「プログラミングみたいなのは選択で作る予定」とのこと。

ちなみにA先生と僕が知合いになったのは、僕が神戸大学在職時代。不思議なシンクロニシティだ。

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2005年9月18日 (日)

出張準備

この秋〜冬に大きな出張が2つある。並行してこの二つの出張準備をしているのだが、いずれも時間と手間がかかかる。

●SigUCCS(http://www.siguccs.org/Conference/Fall2005/index.shtml)

11/05 成田発, San Francisco 着。陸路で Monterey,California へ。
11/09 Monterey から Berkeley に移動。
11/10 Berkeley の某氏を訪ねる。
11/11 San Francisco発
11/12 帰国。

●情報処理学会 CE研 第82回研究発表会(http://ce.tt.tuat.ac.jp/)

12/09 羽田発、鹿児島着。ちょっと早めに入って議論。
12/10 鹿児島大学で研究会。
12/11 東京に戻る。

飛行機の手配、宿の予約、いろいろ手間かかります。

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2005年9月16日 (金)

シンポジウムの宣伝〜〜 高校教科「情報」の現状と将来 〜〜

日時: 2005年10月29日(土曜日)10:00〜17:30
場所: 早稲田大学大久保キャンパス(理工学部)55号館N棟

主催: 情報処理学会 情報処理教育委員会
共催: 情報処理学会 初等中等情報処理教育委員会 / コンピュータと教育研究会(CE)

後援(依頼中): 文部科学省、他
(関東の都県の教育委員会にも後援申請をしております。)

詳細は http://ce.tt.tuat.ac.jp/sigps/ に掲示しています。

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10:00〜10:30 招待講演 / 永井 克昇(文部科学省 初等中等局 参事官付教科調査官)
10:30〜11:00 基調講演(1) / 調整中
11:00〜12:00 基調講演(2) / 筧 捷彦(早稲田大学教授、情報処理学会情報処理教育委員長)

12:00〜13:00 休憩

13:00〜13:30 近畿圏の高校における現状と課題 / 中野 由章(千里金蘭大学)
13:30〜14:00 高等学校の現状 / 天良 和男(東京都立駒場高等学校)
14:00〜14:30 今後の高校「情報」への提言 / 江澤 義典(関西大学)
14:30〜15:00 海外の事情〜ユネスコの提言紹介〜 / 大岩 元 (慶應義塾大学)
15:00〜15:30 高校の情報における「プログラミング」 / 久野 靖 (筑波大学大学院)
15:30〜15:50 休憩
15:50〜17:30 討論会

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2005年9月13日 (火)

高校の先生

情報処理学会の研究会や委員会などで教科「情報」に関するイベントを企画するときは、大抵、パネリストとして高校の先生少なくとも1名に来て頂くことになるのだが、高校の先生方の多くは、生徒指導や学校行事でお忙しく、なかなか引き受けていただけそうな日程をこちらが提示できない。

しかも、これは某所で某大学の先生とほぼ同時に発言しかかったことだが、「優秀な高校の先生は、よく、大学の先生になってしまう」のである。

実は先日も、某所で某高校の某先生から直接「実は、大学の教員にならないかって誘いがあるんですが…」という相談を頂いた。ここに詳細は記さないが、「またかー」と思った。

ところで、逆はないの?と考えてみた。僕が高校の先生になるって誘いはないのか…!!でもなー、「情報」の免許持ってないからなー。とすると数学か。でも、数学の教員は雇口が少ないしなー。

おとなしく、大学の先生つづけるかなー。

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2005年9月11日 (日)

チャレンジ・ドリトル!

情報処理学会では、「夏のプログラミングシンポジウム」というのを開催している。今年のテーマは「プログラミング道」だそうで、「プログラミング教育」について話を…というお誘いがあった。せっかくだからということで話をさせて頂くことにして、さて、何を話そうかと具体化作業を進めていた。

初等中等教育において、プログラミングが忌避されている現状を話すことも大事だとは思うが、もう一つ、大事なテーマがあった。「情報教育の音楽化」だ。

思えば1998年、まだ神戸大学に着任する前の話「初等中等情報教育でプログラミングを扱うべきだ」という内容で、「夏のプログラミングシンポジウム」で話をした。その時の記録は、こんなところ↓に残っている。

http://www.tt.tuat.ac.jp/Prosym-s/happyou.html

その後、あちこちでこのことをいい続けてきた。途中で「情報教育の音楽化」といういいタイトルをつけることになった。「音楽教育の手法で、情報教育の目標を」ということだ。

実は開発費も欲しかったので、あちこちの研究公募にこのテーマを出した。しかし、「音楽教育の情報化」ならいざ知らず、「情報教育の音楽化」なんてテーマにお金はつかなかった。

そんなこんなの日々が続いているうちに、ドリトルに出会った。当時のドリトルはグラフィックスのみを出力として持っていたので、初心者用言語としては大変面白かったし、実践例もすばらしいものばかりだったのだが、自分の欲求を満たすものではなかった。

ある日、ふと、兼宗先生に「ドリトルに音が欲しい」をお願いをした。いつのまにかドリトルは音を鳴らせるようになっていた。

そこで今回の夏のプログラミングシンポジウムでは、ドリトルをプラットフォームにして、プログラミング未経験(ドリトルでさえも触ったことがない)の高校生向けに、「ドリトルを利用した楽譜作成によるプログラミング入門」というような教材を提案してみたいと思っている。

てなわけでこの数日、ドリトルと格闘している。最近、Object指向言語でのプログラミングから遠ざかっていたので、プログラムを書きながら懐かしい概念を引き出しから取り出してきた。SmallTalk とか C++ など、一応勉強したし、ちょっとはプログラムを書いていたけど、最近の仕事ではこういった言語を必要とすることってほとんどないんだよね。

あと、いくつか欲しい仕様が出てきた。ひとつは「タイマー」には「待つ」があるのに、演奏には「待つ」がないので、現状ではカラオケのようなことができない。フレーズごとに歌詞を出すということをしてみたい。でも、これはすぐにできそうなお返事を頂いた。次に、音の長さと音程にもう少しバリエーションが欲しい。付点の概念は難しい。半音は、できなくはないけどちょっと面倒だ。このあたりは今まで本格的に演奏機能を使っている人がいなかったかららしいので、ある意味開発に寄与できているのかも知れない。とすれば光栄だ。

有名過ぎるとは思うが、ドリトルの web page はこちら。

http://kanemune.cc.hit-u.ac.jp/dolittle/

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PENとドリトルを通してJavaに感心する。

ドリトルは兼宗先生(一橋大学)が中心となって開発された、オブジェクト指向プログラミング言語だ。

一見何やら難しそうに見えるが、主なプログラム内容は日本語で記述する。その意味ではPEN(DNCL)と同じだが、小学生でもプログラムを作れるように工夫された処理系であり、その点で決定的に目的が異なる。

PENとドリトルの共通点はもう一つある。処理系そのものがJavaで作られていることだ。こうやって考えると、Javaって、やっぱりすごい言語なんだな。

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2005年9月 5日 (月)

プログラミング言語DNCL とプログラミング・実行環境 PEN

2016/04/13 追記(ここから)

・PENのURLの最新版はこれです。 https://www.media.osaka-cu.ac.jp/PEN/#!index.md

・現在は、PenFlowchart をおすすめします。 http://watayan.net/prog/

(ここまで)追記
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SSS2005などで東京農工大学のプログラミングっぽい入試がそれなりに話題になっているが、あそこで使われている「日本語を使った疑似手続型プログラミング言語」は、大学入試センターの「情報関係基礎」という試験科目で使われているDNCLという言語仕様に準拠している。

DNCLは、昔のBASICやPASCALなどの経験者であればすぐに理解できる言語なのだが、実行環境がない…ということで、大阪市立大学の松浦先生、大阪学院大学の西田先生、大阪市立大学の中村さんのグループで PEN というプログラミング・実行環境を作られた。以下のURLで配布されているので、興味のある方は是非御覧下さい。

http://lyen.mine.nu/index.cgi/Thesis

上記URLには、Windowsでの実行スクリーンショットが掲示されているが、僕の手元にある Mac OS X 10.2 でもちゃーんと動いています。
(以下のスクリーンショットクリックすると拡大します。)

pen

たぶん、Linuxとかでも動くと思いますよ。

御興味のある方はダウンロードして使ってみて下さい。

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