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2005年10月30日 (日)

ご来場ありがとうございました。

昨日のシンポジウムにご来場下さいました皆様、ありがとうございました。諸々の不手際もありました。不快に思われた方がおられましたらお詫びします。

挨拶だけでは…ということで今後の予定を。

・2006年3月10日午前 情報処理学会全国大会(工学院大学新宿キャンパス)で、教科「情報」の教員採用が少ないことについてのシンポジウム。

・2006年3月下旬(朝から夕方まで) プログラミング教育のワークショップ(都内)。(教育用プログラミング言語と、その教材を紹介し、さらに模擬授業をやってみたりする。)

・2006年8月下旬 SSS2006@仙石原(神奈川県 箱根町)

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2005年10月28日 (金)

個人情報取り扱いの外部提供や業務委託

読売新聞が運営する YOMIURI ONLINE の記事
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20051028i401.htm
に、秋田市で民生委員に母子家庭名簿を渡すことができない状態になっていると書かれている。当該記事を少々引用すると、

 個人情報保護法が全面施行された4月以降、
 同市に「市の職員でもない人間がなぜ来るのか」
 といった問い合わせが相次いだ。

とのことだが、何でそんなことになるのだろうか…。市の職員でない人が個人情報を取り扱うことができるように、適切に制度化を作るのが正しい解決方法である。そうでないと、例えば社会保険庁への情報提供ができないはずだが、それについて苦情を言う秋田市民はいないのだろうか。外部提供(第三者提供)、業務委託など、個人情報を地方公共団体(自治体)の外に出さざるを得ないことはいくらでもある。

個人情報保護について誤った認識が広まっている影響なのかなぁ。

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2005年10月27日 (木)

2005年10月29日情報処理学会 情報処理教育委員会 シンポジウム

予想よりたくさんの申込があって、びっくり。嬉しいです。

http://ce.tt.tuat.ac.jp/sigps/

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2005年10月24日 (月)

11月18日、府中西高校で「IT推進校研究発表会」

11月18日、府中西高校で「IT推進校研究発表会」というのがあります。僕は昨年、たまたま偶然に講師として府中西高校にお邪魔しまして、そのときから府中西高校の先生方にはいろいろとお世話になっております。IT推進校も今年で終りということで18日は是非とも参加したいのですが…授業があるので発表会には参加できないのです。それでも、懇親会には合流する予定です。

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2005年10月22日 (土)

ホーナーの方法 普及委員会

情報科教育法の授業の中で、「二進法←→十進法」の変換のことが話題になった。学生が作ってきた教材を見て、その変換方法について質問したところ、ちゃんと説明ができていなかったので、いろいろ調べてみたところ、webに、これをちゃんと説明したものが見当たらなかった。

ということで、ここに書いておこうかと思う。

●十進から十進への変換(その1)

このように書くと何か変な気がする。正確には「十進法で表された数 x から、十進法の各桁の数字を求める」方法である。方法は簡単。xを10で割って余りをみると、それが一番右の数字だ。そのときの商をさらに10で割れば、その余りは右から2番目の数字だ。例えば、

813 = 81 * 10 + 3
81 = 8 * 10 + 1

このようにすれば、813から 3, 1, 8 の数字を見つけることができる。

●十進から十進への変換(その2)

では逆に 8, 1, 3 から 813 を組み立ててみよう。これは

8 に 10をかけて1を加えると 81
81 に 10をかけて3を加えると 813

というようになる。

●十進から二進への変換

上記の(その1)を、2で割るように作ればよい。

●二進から十進への変換

上記の(その2)を、2をかけるように作ればよい。

●組み立て除法

数学の授業で「因数定理」というものを教えることがある。というか、普通はこれを教える。「整式 f(x) を (x-α)で割ったときの余りはf(α)である」というものだ。

そして、f(α)を求めるときによく使われるのが「組み立て除法」である。例えば、f(x)= 3*x^4 -2 * x^3 + x^2 -5*x +1 で f(2) を求めるときは、

2 |  3  -2  1  -5   1
---+

----------------------------------

こんな表を書いてから、

2 |  3  -2  1  -5   1
---+
       6  8  18  26
----------------------------------
    3  4  9  13  27

と計算して f(2) = 27 と求める。計算量理論を学ぶと「ホーナーの方法」という名前で出てくることもある。

●二進→十進の再論

ってことは、

101011 を十進法で表すのは、 f(x) = x^5 + x^3 + x + 1 で f(2) を求めることと同じで、


2 |  1  0  1  0  1  1
---+

------------------------------------


と書いて組み立て除法を計算すればいいのです。

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2005年10月21日 (金)

エフォートの先物市場

この時期になると大学教員は科研費の申請作業で瞬間最大風速的に急に忙しくなる。国立大学の運営金、私立大学の予算のいずれも減少傾向にある最近の状況では、競争的研究費である「科研費」取得を目指して、どの教員も大学から「申請しないと駄目」といわれる。

ところが、科研費は業績のある人に配分が多くなり、たくさん配分を受けた人がたくさん論文を書き、更にたくさんの科研費を受けるという集中型スパイラルの構造があった。それを改めようと導入されたのが「エフォート」という数値だ。これは、1年間の自分の勤務時間のうち、何パーセントをこの研究に当てるつもりか、ということを表す数値である。1年間を約50週と考えれば、1パーセント=2.5日〜3日である。2泊3日の出張1回が1パーセントといってもよい。そして、自分が関わっている(予算を受けている)研究のすべてについて、エフォートの数値の自己申告を添付する必要がある。当然だが、一人で100パーセントを越えることはできない。いや、授業や学生指導、大学運営協力などの時間を考えると、科研費での研究の合計が30%を越えることも、ほとんどあり得ない。

余談だが、エフォートというのを「努力の度合を表す数値」と勘違いして「100%」や「150%」などと書いたり、「研究組織全体での自分の寄与度」と勘違いして「3人でやる研究だから33%」と書いたりして大学の担当科の職員に突っ返されたという事例があったのだが、笑い事ではない。導入当初は、ちゃんと説明されないと何だかわからないのは当然である。

さて、もし研究代表者Aが、「この研究において分担者Bのエフォートは6パーセント」と書いたとしよう。一方、Bは「Aが代表としている研究へのエフォートは2%とする」と書いて申請したとする。これは、Aは「Bが3週間くらいはまるまるこの仕事をしてくれる」ということを期待しているのに、Bは「1週間くらいでいいや」と考えているということになる。本当はこれでは困る。しかし現状では、この数値がずれることは大いにある。なぜなら「申請しても採択されない科研費がたくさんある」からだ。だから、エフォートの数値は、採択決定後に書き直してもいいことになっている。不合理だなぁ。

しかし、研究を依頼したい代表者が設定するエフォートと、研究を依頼された分担者が設定するエフォートに大きな開きが存在してしまうと、今後は何か問題になるような気がする。例えばこんなことが起こりそうだ。

・採択決定後にエフォートを変更することは許されない。
・エフォートは分担を引き受けようとするものが組織長に許可を得た数値を書く。
・今まで、優秀な研究者は研究分担者となり論文業績を提供することで採択率を上げてきた。今後はエフォートも提供する数値になり得る。

まるで先物市場のようだ。ううん、いいのかな。いいんだろうな、みんないいっていうんだろうな、きっと。

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2005年10月15日 (土)

拡張子とオブジェクト指向の話

そのファイルが実行可能なのか、あるいはファイル自体は実行不可能だが、アプリケーションとの関連があるかということは、OSによって全く違うポリシーで管理されている。たとえば Unix の場合は特殊なファイル形式(/etc/magicに記述)に埋め込むか、あるいは実行属性をつけるかのどちらかだった。MS-Windowsの場合は拡張子が .com, .exe, .bat などになっているなら直接実行可能ということになっていた。

そういえば昔、BASIC や DOS のようなコマンドをタイピングで入力する方式のコンピュータを利用していたときは、こんなコマンドを使っていた。

  COPY ABC.* DOC1985\

まずコマンド名で始まり、空白文字があり、引数が続く。数学の関数でも f(x,y) のように書くのと一緒だ。

最近は、このようなタイピングコマンドはあまり見かけなくなってきた。その代わりに「アイコンクリック」でアプリケーションを起動するのが普通になってきた。

「アイコンクリック」と言っても、実は2種類ある。


  • プロパティに具体的なアプリケーション名が関連付けられたアイコンをクリックするとアプリケーションが自動的に開く。
  • アプリケーションのアイコンをクリックして、そこで編集対象のファイルを開く、あるいはドラッグ&ドロップする。

前者の関連付けについて述べよう。Mac OS 9 以前は Mac binary 形式のヘッダにregistryとして埋め込まれていた。Windowsと Mac OS X の場合はファイルの拡張子でアプリケーションの関連付けをする。またもや拡張子だ。

一方、後者の方法はタイピングコマンドでアプリケーションを起動する方法と、
考え方としては大きく変わらない。

さて、ここで式の記法について考えてみよう。例えば足し算を、前置記法(prefix notation)の「+ 4 5」とするか、中置記法「4 + 5」とするか、後置記法「4 5 +」とするかを考えよう。ちなみに日本語では「4に5を加える」とするのが普通だから、これは後置記法と言える。

ここまで見て御理解頂けると思うが、古くから使われてきた「タイピングコマンド」の方法は、「アプリケーションのアイコンをクリックして、編集対象のファイルを開く」と同じ順番であり、手続き的とも言える。一方、関連付けられたアイコンをクリックするとアプリケーションが開くのは後置記法的であり、日本語に馴染むとも言える。これではまだオブジェクト的とは言えないが、それでも結構いい線を行っていると思う。

あぁ、なんだかよくわからなくなってきたけど、こういうことをちゃんと教える教材ってないのかなぁ。

なんか、最初は拡張子の話を書いてセキュリティの話にしようと思ったのに、話が脇道にそれた。ま、いいか。

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教科「情報」の教員採用

東京都の「情報」の教員採用の結果が、都立高校の先生方の blog で話題になっている。東京とは54名受験で1名しか合格しなかったとのこと。ものすごく厳しい数字だ。

僕は、来年(2006年)3月10日(金)(あるいは3月8日)に工学院大学(新宿駅西口のヨドバシカメラの裏)で行なわれる情報処理学会全国大会で、「情報科の教員養成」についてシンポジウムを行なうことにしている。パネラーは、僕と、長野大学の和田先生と、あと、情報科の免許を持ちながら情報科の採用がなかったのであきらめて大学院に行った某さん、そして高校の先生(おそらく1名)という構成にする予定だ。ここで「情報科の新採用が少ないこと」「理工系の情報科免許取得者に何が期待されているのか?」みたいな話をしてみたいと思っている。

高校の先生としてどなたにお願いするかは全く未決定で、これからお願いをしなければいけないのだけど、せっかくだから、お願いしたい先生(数名)のblogに trackback を入れてみよう。

どなたか立候補してくれたら、面白いかも。

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2005年10月12日 (水)

家電がセキュリティホールを作る

インターネットのセキュリティホールについて詳しい人なら、既に常識ともいえる話だが、僕の研究雑報を読んでいる方で、そういうことにあまり詳しくなくて、かつ、そういう情報を求めてご覧になっている方もおられるので、ちょっとだけメモします。

家電製品がネットワークにつながると、いろいろと便利なこともありますが、ごくまれに、大きな事件を引き起こしてしまいかねない事態になることもあります。

例えば、DVDビデオデッキに、外出先からメールをおくって予約できるシステムがありますが、あれも注意して作らないと、SPAMメールなどの踏み台になる可能性だってあるのです。

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/10/06/4882.html
http://www.rd-style.com/support/info/security/security.htm

こういうことを教えるのが、工業製品を作る人のための情報倫理なのかもしれませんね。

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2005年10月10日 (月)

日本は秋葉原ブームだけど…

Sun Microsystems と Google が提携をしたというニュースがあった。そういえば、HPが、今後はPCにNetscapeをバンドルして出荷するという話もあった。来月上旬にはこの地域に出張で行く予定もあるので、せっかくだからコンピュータ・インターネットでよく名前を聞く会社の本社の所在地を調べてみた。

Intel: 2200 Mission College Blvd. Santa Clara, CA
AMD: 20555 Prospect Rd, Cupertino, CA
Cisco: 170 West Tasman Dr. San Jose, CA
Sun Microsystems: 4150 Network Circle, Santa Clara, CA
Hewlett-Packard: 3000 Hanover Street, Palo Alto, CA
Silicon Graphics: 1500 Crittenden Lane, Mountain View, CA
Apple: 1 Infinite Loop, Cupertino, CA
Netscape: 466 Ellis St, Mountain View, CA
eBay: 2145 Hamilton Avenue, San Jose, CA
Yahoo: 701 First Avenue, Sunnyvale, CA
Google: 1600 Amphitheatre Parkway Mountain View, CA
Oracle: 500 Oracle Pkwy, Redwood City, CA
Macromedia: 101 Redwood Shores Pkwy, Redwood City, CA
Adobe Systems: 345 Park Ave, San Jose, CA

ちょっとわかりにくいので日本語にして、北から順に直すとこうなる。

カリフォルニア州
 レッドウッド市 Oracle, Macromedia
 パロアルト市 Hewlett-Packard
 マウンテンビュー市 Google, Netscape, Silicon Graphics
 クパチーノ市 Apple, AMD
 サニーベール市 Yahoo
 サンタクララ市 Intel, Sun Microsystems
 サンノゼ市 Cisco, Adobe, eBay

これ以外にも、スタンフォード大学もこの地域だ。(定点(teiten)で使われている計測機器を作っているDAVISもこの地域だ。)

地図を見るとわかるが、これらの企業の本社はすべて Bay Area と呼ばれるサンフランシスコ湾を取り囲む範囲のさらに南側の部分にあって、車で1時間で行き来できる。サンフランシスコから東に渡ると North Bay Area で UC Berkeley があって BSD の聖地。SETI@HOMEは UCB のプロジェクトだ。

あと、昔 Adobeの製品に 'PageMill' というものがあった。coffee-mill や papper-mill になぞらえて、html editor に page-mill とはイカシタ名前だが、実は、Stanford大学の近くに Page Millという道路があって、その名前との引っかけにもなっているのだ。ただ、僕は不勉強で、道路の Page Mill という名前の由来を知らない。

こうやってみると、コンピュータ・ネットワーク業界の開発系で BayArea でないのは Micorsoft と IBM と、日本・韓国・中国に本社のある会社なんですね。

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2005年10月 7日 (金)

教科「情報」の「神童通報制度」

日本文教出版の論説では文字数上限の都合で書けなかったことがある。省略したということは、論説に書いた内容よりも重要度が低い(だから自ら削った)ということではあるが、それでも、blogには載せてみたいと思うので、ここに。

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自分自身の経験を振り返ると、算数・数学が得意だったのは小学校4年生〜5年生、中学校2年生、高校3年生後半〜大学3年生である。期間が連続していない。実際、高校1年生のときは数学の成績はとても悪くて、実は英語の成績もとても悪かった。ま、自分の話はこの辺で終了して、算数・数学が得意な生徒・学生の間では、例えば「月刊・大学への数学(東京出版)」「Z会MA科」「数学セミナー」などのメディアが古くから存在していた。また、学校の算数・数学の先生は、自分のクラスに「よくできる児童・生徒」を見つけると、その児童・生徒に非常に高度な内容の問題集や大学生向けの教科書などを与えて更に伸ばしたり、数学科への進学を推薦する慣習があった。いまはこれを「神童通報制度」と呼ぶことにしよう。

「神童通報制度」は数学だけでなく、音楽、体育、美術、英語などにもあった。物理(理科)の場合は「神童通報制度」は存在しない代わりに本人がアマチュア無線・天文などの趣味にのめり込むことで、事実上「神童通報制度」が機能していた。国語も図書館がその機能を果たしていた。なぜか、社会科にはそんな制度はなかった(ように見えた)。

えぇ、もちろん、「神童通報制度」が高校の『情報』にあるのかってことです。

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2005年のこの時代に、紙媒体(雑誌)で情報の「神童通報制度」というのもおかしな話だなぁとは思います。で、情報関係が得意な生徒さんはどうしているのだろうかと調べてみた。slashdot、2ちゃんねる、デジタルハリウッド、U-20プログラミング・コンテスト、ITハイスクールなどいろいろある。

大学の教員としては、もう少しこの分野に関わりが多くてもいいような気がするのだが、それとともに、高校に、情報の「神童通報制度」を作る必要もあると思う。通報制度であるから、可能ならすべての学校に、そうでなくてもできる限り多くの学校に存在すべきである。一部の先生だけが頑張って通報するのではない。数学の通報制度の場合は、ほとんどの数学の先生が「この生徒は神童」と見ぬいて通報できるのである。「情報」にできないとは思えない…。情報の「優等生」にどんな夢があるのだろうか…。

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2005年10月 4日 (火)

教科「情報」の大学入試への導入の現状と展望

日本文教出版の「ICT・Education」に、論説が掲載された。URLは以下の通りです。
http://www.nichibun.net/case/ict/27/01.php

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2005年10月 2日 (日)

授業におけるWiKiの利用

昨年から授業を担当している青山学院大学理工学部の「情報科教育法」「情報科教育法特論」では、今年からWiKiを授業ツールとして活用してみようという実験を始めてみた。

もう、そういうことをしている先生方がたくさんおられるのはよく承知していて、だからこそ何か面白いことができないかと思案中なのです。

なお、当該ページは非公開です。URLをここに書いてもいいけど、BASIC 認証を利用したパスワード制限をかけてあるので、パスワードを知らない人が中身を確認することはできませんので、それなら書かなくてもいいかってことで、書かないでおきます。

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