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2006年1月23日 (月)

センター試験リスニングの「トラブルによる『再試験』」の裏側

新課程履修者にとって初めてとなるセンター試験が、先日行なわれた。リスニングについていろいろ報道がなされていて、事情を知らない人達がblogにいろいろ書いているのを見ていて、いたたまれなくなったので、ここに記そうと思う。

「試験中に音が聞こえなくなって挙手をしたのに試験監督から続行を命じられた」という受験生は気の毒である。本当にきちんと手を挙げても気が付いてもらえなかったのなら別の問題(試験監督が寝ていた or 手の挙げ高が足りない)だが、「試験続行」を言われたということは試験監督は事態を認知しているわけで、そうなると本当に可哀想だ。当該会場の試験監督は、入学試験への真剣さが足りないと思う。

一方で、不正確(あるいは意図的?)な報道が多いことは気になる。例えば「センター試験トラブル。450人が再試験」という見出しがあった。

「再試験」というのは1週間後に行なわれるものであり、当日行なわれるのは「再テスト」と呼べと、当日の試験監督を担当することになった人は研修(?)を受けている。少なくとも東京農工大学では2回も説明会があり、両方に出席を求められていて、そこでちゃんと説明があったと聞いている。もしかすると大学入試センターがきちんと説明をしなかったのかもしれないが、少なくともセンターの関係者は「再試験」とは一度も口走っていないはずである。報道が勝手に「再テスト」を「再試験」と言い替えたのだろう。

また、「トラブル」という言葉を使ってあたかも「失態」を指摘しているように見えるが、今回の「再テスト」は人数の多少は違えど予想されていたものであり、再テストマニュアルもあらかじめ配布されていたのである。けっして、行き当たりバッタリのぶっつけ本番で再テストをその場で用意したのではなく、十分準備されたものである。

ところで、事前に非公式には「1万台に対して1台程度の不具合予想」という話があったそうで、それが事実なら日本中で49台の不具合機器が出たはずである。もし仮に49台の不具合しかなかったとしても、試験マニュアルによれば、不具合があった受験生が大きな音を立ててしまったりすると、周りの受験生、場合によっては教室全体が再テストになる。したがって、450人程度が再試験を受けたことも、450台の不良機器があったことを意味しない。

それから「再テストを受けることができる受験生のなかに、本当は聞こえたのに聞こえなかったという人がいるかも知れず、それは不公平だ」という意見の報道があったが、それは間違いである。再テストの場合は、聞こえなくなったところから先の解答が有効とされる。例えば、2006年1月21日の18:13頃に、本当は聞こえたのに聞こえなかったと手を挙げた受験生がいたとする。リスニングなので、どこで聞こえなくなったのかが分からないが、実は、試験監督のうちタイムキーパーを担当している人がいて、挙手した人が出た瞬間に、その時刻(秒まで)とおおよその問題位置をメモしている。例えば「18:13なら第2問の問11を答えているはず」ということが分かっていれば、本テストの答案は第2問の問10までが有効で、再テストの答案は第2問の問11以降のみが有効になる。嘘をついた受験生は問11だけ得をすることは間違いないが、そのために60分以上帰宅が遅れてしまうのである。どちらかというと損をするはずである。

大学入試センターも、もうすこし正確な報道ができるように資料準備を行なっておくべきであっただろう。事前の不良機器台数の予想、再テストと再試験と追試験の違い、再テストの準備をちゃんとしていたことなどなど。説明責任も責任のうちと思う。

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2006年1月 6日 (金)

「IT指導力」とは何のことでしょうか?

先ほど、読売新聞のニュースサイトに

教員のIT指導力評価基準を策定、処遇にも反映へ
という記事が掲載された。これを見ていくと、文部科学省は「IT指導力のある教員なのか」について「理科では火山が噴火した際に溶岩が流れ出る様子をパソコンのアニメーションなどで視覚的に解説できるかどうかや、体育では、跳び箱を跳べた子と失敗した子の動画を比較して、両者の違いを教えられるかどうか」としているそうです。

ここで例示されている内容って、「教科教育の情報化」ですよね。決して「情報教育」ではないですよね。新聞記事は読み易いよう短くまとめられているものなので文部科学省が何を「IT指導力」としているのか、調査の必要がありますが、「私はトビバコの指導に Movie Maker を使っていますので、私も情報教育をやっています」などという発言が出てきたら、困りますね。

教科教育の情報化は、それ自身として極めて大切なことです。情報教育も大切なことです。それをちゃんと分けて議論しないと。

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2006年1月 5日 (木)

ITの活用(階段関数で価格を決めることからの脱却)の続編

okumuraさんからのコメントを頂いて、ちょっと解説です。実は問題はそんなに簡単ではないのです。

「100円でも節約したい」のは確かですが、1分遅く出発すれば1分のアイドリング燃料費が余計にかかり、さらに1分遅く着くのです。1分を取り返すために少し早く走れば燃料費が余計にかかります。

例えば、25トン車が23:00に高速道路の大阪の入口にいて、これから東京に向かうとします。正規料金と割引料金の差額は4,750円です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060105-00000011-maip-soci

ここで何分待つことができるでしょうか?しかも、その待ち時間をアイドリングで待てば、結構な燃料費になり、到着が遅れます。それを避けるには、アクセルをたくさん踏んで遅れを短くするしかないですね。

さて、もし、21:00に高速の入口に着いた場合は3時間待ちで、3時間アイドリングかラーメン店で待機して3時間遅れです。これは嫌ですから、4,750円安くなっても、きっと待たないで入るでしょう。

もし、23:30に高速の入口に着いた場合は30分待ちで、30分間アイドリング、30分遅れ。これなら4,750円安くなるので待とうという気になります。

もし、23:00に高速の入口に着いた場合は60分待ちですね。どうしましょうか?また、23:30に高速入口に着いても目的地が名古屋(差額が安い)だったり、正規料金が安い2トン車だったらどうするでしょうか?

ということは、現状の仕組みでは、入口に滞留するかどうかは、車の大きさと目的地による正規料金の30%(値引き価格)と、滞留することで増えるコストを比較して決めているわけで、「待とう」という判断をした車は24:00になったら一斉に入口から入っていくわけです。

そこで提案です。価格を時間の階段関数にするのはやめて、「待てば安くなるけど、待つのは馬鹿らしい」と思う程度の割引曲線を設定すればいいのです。

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ITの活用(階段関数で価格を決めることからの脱却)

毎日新聞が1月5日15時5分に配信した記事によれば、ETC深夜3割引の開始時間深夜0時の前になると、高速道路の入口に多数のトラックが滞留し、警察は「駐車違反、危険」と呼びかけているものの、抜本的な解決策が見つからず改善の兆しはないとのこと。そんなこと、道路公団、警察のいずれも予想していたと思うのだが、それにも関わらず対策を設けなかったのはどういうことかと思う。

「ITの活用」ができるかどうかの問題ですね。23:30〜24:30の60分をかけて、1分につき 0.5%ずつ割り引くようにすればいいのですよ。例えば、

  • 23:50分に入った車は 10%引きなので、10,000円の区間なら1,000円引き。
  • 23:51分に入った車は 10.5%引きなので、10,000円の区間なら1,050円引き。
こう書くと、「それなら最大割引になるまで待つ車で滞留するから意味無し」と思う人も多いでしょうが、
  • 24:28分 → 29%引き → 2,900円引き。
  • 24:29分 → 29.5%引き → 2,950円引き。
  • 24:30分 → 30%引き → 3,000円引き。
になるので「50円くらいなら1分早く入ろう」って人もいるはずで、結果として滞留はほとんど起きないと予想します。また、この方法だと、長距離であればあるほど割引価格も大きいので、短距離トラックはわりと簡単にシビレを切らしてゲートから入ります。もっと細かく、12秒毎に 0.1%安くするでも可能ですよね。

人間が計算をして、人間が紙幣・硬貨のやりとりをするのなら、こんな料金体系は不可能ですが、ETCはコンピュータなのだから、これくらいのことをしなさい‥ね。

ついでに書くと、JR東日本さんも、「Suicaを持っているなら、運賃の端数割引(例えば0.1km毎に運賃を変化させる)」とかしてくれるといいのに。Suicaなんだから、10円単位で運賃設定をする必要ないでしょ。そうすると、Suicaももっと普及すると思います。

スーパーの惣菜コーナーの値段も閉店30分前から、1分1%ずつ引くってことだって、できますよね…。

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