テレビや新聞などで「卒業までに追加で210時間」「350時間」などと、当該学校の生徒達が大変な目にあっている様子が報道されている。仮に、卒業までの履修時数を 30時間×35週×3年間で 3,150時間とすると、350時間追加が必要な生徒達は、卒業までに必要な学習時間は2,800時間で飽和していることになる。それより先をどれほど勉強しても、卒業に必要な内容を勉強したことにはならない。
さて、今回の事件が発覚した直後から文部科学大臣は「特例扱いはしない」と発言してきた。(めずらしく立派なことをいう大臣だと個人的には感心していたのだが、)行政職の立場では当然の発言だろう。ところが昨日頃から、元首相や、その周りの「立法」にある人から「本人に責任はないのだから、救済処置を講ずるべきである」という発言が目立ち始めてきた。行政にできないことをするのが政治(立法)の役目であるから、その発言の行政と立法の区別について議論するつもりはない。
しかし……、この救済処置は、あまりにも社会的不公平である。というのは、今回補習が必要と見積もられた人数は7万人超(10月28日毎日新聞web)であり、高校3年生で大学進学を希望している生徒は、おおむね60万人(センター試験は50万人程度が受験)である。よって7万人は一部の「それまで有利に勉強を進めてきた人達」である。既に有利に学んでいる人に、本人に責めを帰せないとしても、救済をするというのでは、「正直者が馬鹿を見る」の典型となる。
耐震偽装マンションの事件のときも、当該マンションのすぐ近くで、高価でしっかりとしたマンションを買った人達は、被害者が全面救済されるとするならば怒るはずだ。「うまい話には裏がある」のは、生きる力として当然に身に付けるべきこと。一部の進学校は「おいしすぎた」。
ここは公正を期すために、次のような提案はどうだろうか?
- 各学校に必履修科目の未習時間を申告してもらう。それを x と置く。
- その学校からセンター試験を受験した生徒の得点は、(3150-x)/3150倍して採用する。
つまり、もし350時間未習という生徒の場合は、2800/3150=8/9=0.888 であるから、合計得点を 0.8888倍して採用するということにしてはどうだろうか?もし、この提案が通れば、真面目に勉強してきた受験生も「しかたないな…」と思うだろう。
それから、附属高校を持つ一部の大学にとっては、チャンスでもあるとおもう。「超法規的に入学を認めましょう。未習部分は、大学入学後、我大学の附属高校の先生が授業・試験をして単位認定します。」というキャンペーンをすればよい。不安だった生徒達の人気を集めるかも知れない。
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