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2006年11月26日 (日)

平成18年度情報教育研究集会

日本国内の大学教員で「大学生に対する情報教育」に関わっている人達の日々の実践や研究成果を発表する会議「情報教育研究集会(昨年までは「情報処理教育研究集会」という名称でした)」というのがあります。

毎年1回開催で、もう20年近く開催され続けています。今年の主催大学は広島大学。11月24日〜25日に開催されました。(なお、基本的には国立大学情報処理教育センター協議会が当番校(?)をまわしています。2003年までは「主催:文部科学省(あるいは文部省)」でした。)

圧倒されるのは分科会です。今年は9つの教室に分かれ、たった1日で200件以上の発表がありました。全国の多くの大学から、実践が発表されます。この集会に参加すると、現在の大学における情報教育の「ありのままま」を知ることができます。

昨日の発表で気になったことがいくつかあるのですが、そのうち一つをここに書きます。

ある大学で、予算の事情もあり、コンピュータ教室に OpenOffice.org を入れ、MS Office を撤廃した。学生がどのような意見を述べたかについての話でした。

事情は複雑ですが、論点を整理するとこんな感じでした。

  • 2005年度の大学1年生は高校で「情報」を学んでないので、OpenOffice.orgでも抵抗感が少なかったのに、2006年度の大学1年生からは「高校と違う」という苦情が増えた。
  • 大手電器店など販売されている初心者用お勧めパソコンには、たいてい、Word, Excel がプレインストールされているので、学生は自宅のパソコンで資料作成をしてしまい、大学の Writer, Calc を使ってくれない。この傾向は2006年度にさらに顕著になった。
  • 大手電器店などのパソコンには Powerpoint はインストールされていないので、学生は Powerpoint を買うか、 OpenOffice.org の Impress を使うかを選ぶことになる。そうすると、 Impress を使う人も結構いる。そして、2005年度より2006年度の方が「Impress が使いにくい」という人が増えた。高校で Powerpoint が普及しているからでは?
  • Drawは、対応する MS Office ソフトがないので、ちゃんと使われていて、2006年度の学生でも評価が悪くない。

僕の感想は、明日にでもアップします。


【追記 2006.11.27 11:34】ν速にスレが立ってたので、自分でトラックバックモドキをします。

リファラみれば一発だよなー

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コメント

私は大阪市立大学の松浦敏雄先生が「よしだともこのルート訪問記(第38回)」で
>私はコンピュータ・リテラシ教育の目標を「新しいソフトウェアに対する適応力」
>「自分で問題解決する能力」「計算機をどのように利用するか(あるいは利用しな
>いか)を判断する能力」を養うことだと考えています。
>現状では,多くの大学や短大が「ワープロや表計算ソフトの使い方を教える=リテ
>ラシ教育」と考えているため,教えられたソフトウェア以外は使えないし,使おう
>としない学生を生み出してしまっています。
と言っておられたのをよく引用するのですが(授業プリントにも),まさにこの状況なのかなと思いました。

投稿: わたやん | 2006年11月26日 (日) 16:38

これは、物理の「運動量保存の法則」と同じです!(^^)!

10年前に、某教育委員会でDOS/V機(Win95+MS-Office)を導入したところ、
・「PC-9800」とキーボードが違うので教えていられない
  他の地区や教科書(参考書)と違いが多すぎる
・ワープロが一太郎ではないので教えられない
  一太郎なら、文書もテキストも他の地域と揃えられる
と非難轟々でした。
 さらに、「こんなもので勉強しても高校や大学や、就職先でも苦労する」とまで言われたものでした。
 結局は、流行のものに流されているだけなんですよね。

投稿: 落伍弟子 | 2006年11月26日 (日) 17:39

わたやんさん、こんばんは

その会場には松浦先生もおられまして、そのあとの昼食のときに、いろいろブツブツと議論(?)をしました。未履修問題で高校の情報教育に注目が集まっていますが、大学の情報教育も考えなければいけないことがいっぱいあります。しかも、大学の教員には教員免許という仕組みがないので、教える人の個人差が高校よりも大きいです。教職課程の担当者に限っては、課程認定を受ける必要がありますが、これも認定を受けてから担当者が代わっても再認定せずにいけるという不思議な仕組みです。

いろいろ悩ましいです。

投稿: たつみ | 2006年11月26日 (日) 17:48

落伍弟子さん、こんばんは

実は明日投稿しようと準備してある「下書き」があるのですが、予備校の模試でいえば「1問的中!」です。

・【一太郎以外はワープロにあらず】という前提でのワープロ操作教育を、「情報リテラシー教育」と称して徹底していた人達は、いま、どうしているのか、想像したことはあるのか?

とかいて下書き保存状態です。同じ意見の人がいて嬉しいのですが、せっかく隠しておいたのに…と悔しかったり(笑)

投稿: たつみ | 2006年11月26日 (日) 17:51

Office2007の操作は今までのOfficeとガラリと変わります。面食らいました。3月に更新するPC教室に入るのでTR2で使い勝手を研究していますが、全く別のソフトと思うくらいです。Word以外はワープロにあらずという方も、半年後はどうなることでしょう。

個人的にはMSへのこだわりは全くありません。また、MSを使うなという気もありません。一つのOS/ソフトを使いこなせれば、他のOS/ソフトもすぐに使えるぐらいの問題解決力は必要だと思います。Vista+Office2007でMSから離れる人も多いでしょうが。

投稿: VX(五十嵐) | 2006年11月26日 (日) 20:09

↓トラックバック代わりのリンクです^^;

投稿: okumura | 2006年11月26日 (日) 20:43

VX(五十嵐)さん、こんばんは

落伍弟子さんに続いて、また一つ、明日のための下書きを的中されてしまいました。ちょっと悔しいけど、嬉しいですね。

・【MS Word 2003と OpenOffice.org Writerの差】よりも【MS Word 2003 と MS Word 2007の差】の方が大きいでしょう。Word 2007 が登場したら、2年生以上の在学生にも Word 2007 の講義をするのですか?

投稿: たつみ | 2006年11月26日 (日) 20:54

ところで「DTP入門」というのは何を使うのですか? DTPといえばQuarkXPressかInDesign,ペラならIllustrator,いずれもMac。ここでも道具は仕事に応じてかなり決まってしまいますよね。私ならUnix系OSでEmacsが必需品。まず解決すべき問題があって,それに対していろいろな道具があるとうならわかるけれど,そうじゃなくてまずWindowsとWordありきというのはよくわかりません。

投稿: okumura | 2006年11月26日 (日) 21:10

奥村先生までご意見をいただきまして、光栄です。また、本校の学校設定科目「DTP入門」まで紹介していただきまして、ありがとうございます。

本校は平日も土日も19時30分で施錠です。今日もぎりぎりまで中間試験の問題を作成してきて、ひとつコメントを書き、やっと一杯したところです。2杯目を目の前にして、展開の速さについて行くためにどうしたら良いか迷いました。公務員の飲酒運転は非常に厳しい扱いを受けていますが、Webでは大丈夫でしょうか?
私は平成12年に免許講習会を受ける直前まで、部活と数学ばっかりでしたので、コンピュータはご無沙汰でした。(大学時代はCP/M上でPL/1やFortranなど使っていましたが)そんな素人だということをご理解ください。このような人材を集めて情報の免許を発行した訳です。数学の免許を取って教員になった経緯はすでに紹介しましたので割愛します。
数学の免許を取るための苦労に見合うだけの苦労を、情報の教員として一人前になるには必要と思って研鑽している次第です。数ある分野の中でもDTPの世界は奥が深く、日本の「情報」の多くの部分を牛耳っていると考えています。(日本だけでMOが流行っているのもそうですね)ですから、DTPを学ぶために教育機関に通って勉強しています。理屈抜きに作品を仕上げることが目的の世界です。奥村先生や先生のブログで意見をされている方もEmacsで並々ならぬ努力をされていると察します。
日本独自の文字環境が他国と違っているために、Macの独占状態が続いていました。(ここではフォントの歴史があるのですよね)それが、OpenTypeフォントの急激な普及で、MacとWindowsの垣根がくずれ、安価に環境を実現できるWindwosに軍配が上がり初めているのだと思います。印刷現場では、いまだにMacOS9で、イラレもバージョン8/9あたりが主流でしょうが、存続を賭けて近々に変化が起きることでしょう。今ではWord原稿の入稿も受け付けるようになってしまったのですから。
私がこの記事を書いているのもMacです。Windowsが好きな訳ではありません。「DTP入門」では、文字組みを教えると、(MSですが)すぐにPublisherに移ります。Publisherも2003からかなり使えるようになりました。Mac+Adobeの牙城に追いつこうというMSの努力があったのでしょう。どの学校にも入っていて、Wordから、そして他のソフトへの移行が簡単なのです。実際に、Publisherを使った生徒はあっと言う間にIllustratorに慣れてしまいます。
「DTP入門」または夏休みの短期集中講座「DTP基礎」を履修した生徒のために「DTP活用」という授業を用意しています。こちらは、Photoshop+Illustrator+InDesignという奥村先生のおっしゃる通りのソフトを使います。
DTPという業界に入門させるためには、WindowsでもMacでもLinuxでも構わないとおもいますが、MacかLinuxで入らなくてはいけないとは思いません。まず、身近かな環境でDTPを楽しんでもらうことが、私は大切だと思っています。家でもはがきやポスターを作って、これを職業にしていきたいと目を輝かせる生徒もいます。
Windowsを含めて、どれが好きとか嫌いとかの感情を持っていませんが、そのことが罪だと言う方もおられるのでしょう。私の理想はそれとは別の次元のものです。総合学科なのでいろいろな職業観を持たせるために工夫が必要なのです。国立のようにMacの部屋を要求して通るほど、高校現場は余裕がないのです。
情報の免許を取っても何も努力しない教員がいるために、何人分も苦労しています。奥村先生、辰己先生、早く優秀な教員を現場に送り込んでください。

五十嵐、2杯目に行きます。

投稿: VX | 2006年11月26日 (日) 23:15

ちょっとだけ誤解があるようですので。

最近、国立大学の多くが Mac に移行したのは、お金がないからです。

運営交付金が減少していく中、Windowsでは旧システムと同じ台数を維持できません。だから、システム更新のときに、より安価に導入できる Mac になっていきます。実際、道具の値段は Mac の方がやや高いですが、ソフトウェアや維持管理に必要な人員(特に、パッチ、動作確認、バージョン管理)での工数が大きく違うと聞いています。他の予算を削ってでもPC教室更新を優先させる方針の大学・組織の場合は、MSのままということもあると思いますが。

投稿: たつみ | 2006年11月26日 (日) 23:23

最後に蛇足で書いた部分ですが、知識が浅かったようで反省しています。
専門学校やDTPスクールが、MacからWindowsに急激に移行しているのは、QuarkXPressとInDsignの価格の差からかも知れませんね。

投稿: VX | 2006年11月26日 (日) 23:41

五十嵐先生,どうもありがとうございます。なるほど,Publisherという手がありましたね。概念習得が目的でしょうから,別にAdobeでなくてもいいですね。
MacはIntelになったけれどAdobeが追いついていないしRosetta環境はいまいち安定していないので,今リプレースするとなると困ると思います。それでいっそのことWindowsということなのでしょう。でもヒラギノとMS 明朝では大違いですが。

投稿: okumura | 2006年11月27日 (月) 10:19

奥村先生、ありがとうございます。Wordを教えるのではなく、レイアウトソフトを利用して「情報デザイン」を教えていることをご理解いただけましたでしょうか。
(レスが遅くてすみません、勤務先ではブログに投稿できませんので)

さて、辰己さん風にいうと的中ですね。私の授業ネタです。
MS明朝の類については、あくまでもビジネス用フォントで商業印刷にはとても使えない。雑なデザインのフォントだと教えています。
モリサワなど学校でフォントを買いそろえることはできませんが、幸いAdobeCSに付いて、Opentypeフォントの小塚のファミリーが入っています。MS明朝などと併せてイラレに同じ文字を配置し、アウトライン化して選択した状態で比べさせます。
MS明朝は直線的でアンカーポイントも多く、心がこもっていないデザインであることが見えてきますよ。

しかたないので、授業ではHG明朝/HGゴシックのE/Mとそのファミリー、HG創英角ゴシックUBとそのファミリーを勧めて、全体の統一感を出すように指導しています。

投稿: VX | 2006年11月27日 (月) 22:33

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