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2007年2月26日 (月)

プログラミングを学ぶ3つの理由

筑波大学の久野先生と、「プログラミングを学ぶ理由を、いくつか取り上げて整理してみよう」ということを行ないました。

久野先生も僕も、1998年ころから共通して主張し続けていたのが、「(1) コンピュータや情報システムを理解するには、プログラミングを学ばなくてもいい。しかし、プログラミングを学んだ方が、遥かに効率的に、正確に、コンピュータのことを理解できるようになる」というものです。

この意見をさらに増強すべく、2004年ころからいい始めてきたのが「(2) 近隣諸外国では、小学校5年生程度でプログラミングを含む情報教育を始めてきているのに、日本がこのままだと、将来がまずい」というものです。これは、「プログラミングを学ぶとどうなるのか」という積極的な理由ではなく、「プログラミングを学ばないとどうなるか」という理由なので、イマイチ説得力がない。

そこで、もう少し説得力がありそうな、それでいて、久野先生と僕で「そりゃそうだ!」と言える理由づけをしようと議論しました。結論は「(3) プログラミングは、未来を正確に予想するために必要」というものです。解説が必要なので、ここに書いてみます。

物理の場合、物がどのように動くかを記述する基本は運動方程式です。運動方程式を記述するために必要なのが、速度や加速度、変位などの量です。運動方程式を記述するとn秒後の球の位置などがわかるようになります。化学の場合、二つの物質の反応を表すのが化学式と化学反応式です。化学式の前提となるのが元素記号であり、化学物質の性質を表す沸点、融点、原子量などの数値です。

ちょっとまとめ直すと、運動方程式は物の動きという未来を、化学反応式は物質の反応という未来を語る非常に重要な概念です。このように見てみると、プログラムも同じ役目を持っていることがわかります。それは、プログラムと入力のペアがコンピュータの動作と言う未来を語ることができるという意味です。そして、物理の「速度、加速度」に相当し、化学の「融点、沸点、原子量」に相当する「情報」の概念は、おそらく「コンピュータの動作、情報量、入力の形式、出力の形式」になるのでしょう。

物理 化学 情報
速度、加速度 融点、沸点、原子量 コンピュータの動作、情報量、入力の形式、出力の形式
運動方程式 化学式、化学反応式 プログラム

ところで産業革命を支えたのは、物理であり化学でした。そこから機械工業、化学工業が起こってきたともいえます。今後の情報社会を支えていく私たちが、プログラミングを知らないというのは、運動方程式を立てたこともなく、化学式を見たこともない人が、機械を利用したり、化学物質を利用したりするということになるわけで、これは相当恐いことだといえそうです。

言い替えるなら、「情報を学ぶにあたり、プログラミングを学ばなくてもよい」というのは「物理を学ぶのに運動方程式は不要である。速度、加速度だけやればいい。」「化学を学ぶのに化学式は不要である。融点、沸点、原子量だけやればいい。」というのに近いように見えます。

反論もあるでしょう。大歓迎です。お待ちしています。

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2007年2月21日 (水)

プログラミング・情報教育研究会(その3)

2007/02/22 18:00開始で、プログラミング・情報教育研究会の第3回(略して『プ会3』)を開催します。 場所は東京メトロ千代田線の赤坂駅近くです。主なテーマは次の通りです。

兼宗 進さん(一橋大学)
プログラミングのある生活
阿部 和広さん(HP-Squeakers)
Squeak

御参加希望の方は、僕にメールで御連絡下さい。会場の細かい場所などをお知らせします。

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2007年2月18日 (日)

2006年度のコンピュータと教育研究会

情報処理学会というのは2万人を越えるメンバーがいる、 日本で一番大きい情報処理に関する学会です。

対象は情報処理ですから、教育に関係する人も関係しない人もいます。 学会には研究会という小さな組織があって、 教育に関する人達が集まっているのが、 「コンピュータと教育」研究会、通称CE研です。

CE研ではSSSを併せて毎年6回の研究発表会をしています。 特に年度の最後の研究会は、都内で2日間連続で行なわれ、 多くの発表があります。

2006年度の最後の研究会は、2月16日・17日で、一橋大学で開催されました。

いろいろな発表があって、いろいろな議論をして、 懇親会でもいろいろな相談をして、もう、たくさんいろいろ頑張りました。

僕は、研究会の幹事をこの3月末で退任し、4月からは「お客さん」として 研究会に関わっていこうと思っています。

次回は2007年5月19日、桃山学院大学(大阪府和泉府中市)です。 御参加予定の方は、是非!

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2007年2月10日 (土)

プロなんですから、しっかりしてください!

が配布していたCCCクリーナーが汚染されていたり、 にXSS脆弱性があったり…。

go.jp といえど油断できませんね。

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2007年2月 9日 (金)

このブログを、いつも読んで下さる皆様にお願い

まだ確定していないので、そのつもりのお願いです。

「情報」の大学入試に興味をお持ちの先生へ
2007年6月9日、10日の両方を空けておいて下さい。 そのうち片方にイベントを入れる予定です。
「情報」の教員養成に興味をお持ちの先生へ
2007年10月27日を空けておいて下さい。 ジョーシン07を入れる予定です。
皆様宜しくお願いします。詳しく決まりましたら、どんどん速報していきます。
【2007.3.2追記】「大学入試と情報フォーラム」は6月9日に決まりました。

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【普通教科「情報」を選択教科にすること】という記述

Googleで「高等学校長協会 普通-教科 情報-教育 必履修」というキーワードを入れて検索すると、「平成18年6月20日」という文書が引っかかります。その中は、「平成18年度 教育課程研究協議会における研究主題ならびに主題に係る調査資料作成について(依頼)」と書かれています。全国高等学校長協会での作業アンケートの様子です。Googleで見つかるということは、公開されている文書なのでしょう。

この中でも特に、

小中学校で実施している情報教育との関連を踏まえて、高等学校における普通教科「情報」の課題や、教育効果を上げるための実施方法。次期学習指導要領における扱い方についての要望。(例えば集中講義形式での実施や、選択教科にすることなど)
という部分には、要注目です。

高校の情報教育、特に操作教育中心主義が蔓延している現状では、校長先生方の目には、このように写っても仕方ないところもあるのかも知れませんが、しかし、これでは日本の未来とか、子ども達の未来とか、誰が責任を持って進めていけるのでしょうか?既に諸外国と比較して明らかに遅れているのに、さらに格差を広げていこうという意図を持ってアンケートを取っているように見えます。

校長会を「抵抗勢力」と椰揄する人もいるかも知れませんが、問題はそんなに簡単じゃありません。少なくとも私たち(大学の関連分野の教員)は、そのようにいわれない授業が実施されるように、いろいろな研究を行なったり、現場での実践の援助をしなければならないように思います。

単に「入試に出す」だけでも駄目なことはよくわかっています。入試に出しつつ、ちゃんと協力もしていくことが必要ですよね。

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2007年2月 8日 (木)

情報入試採用大学の増加\(・_・)/

2006年度の教科「情報」は、未履修問題で揺れましたが、情報入試の採用大学は確実に増えています。

毎日新聞の記事によれば、今年は23大学で実施されるとのことです。昨年と比べて1大学が取り止めた代わりに8大学が参入しました。

また、国立大学では3つ目となる奈良女子大学が、平成20年(2008年)2月の入試から「情報」の出題を行なうとのことです。

もっと多くの大学が「情報」の入試を行なうことを望みます。それが、「情報」という教科の地位向上にもつながります。それは、「情報」の先生や、「情報」の教員養成課程にとってもプラスになるのです。

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生物学者の気持ちがわかる話

昨夜作業をしていたら、23:33頃に、HPGIという企業の広告が届いた。中身には、

On monday they released news explaining they found gold anomolies spanning 20 kilometers - THIS COULD LEAD TO SOMETHING HUGE!
と書いてあった。何も気にせずに普通のspamだと思った。

そしたら、先ほど、つまり、この↑メールから2時間経過したころに、

Come on, come on, great discounts on the stock exchange. (中略) HPGI hit upon new gold field with the length of 20 km. It will make unthinkable profit not only for the company.
と書かれているメールが来た。

アメリカ東部時間にすれば、最初のメールが 09:33am, 次のメールが 11:30am だから、ちょうど株式市場が動いている時間ともいえる。

株式市場への風説の流布を狙ったspamがあるということは、あちこちで聞いていて、実際に今までも僕は何通も受けとっていたのだろうけど、わざわざ調べることもしていなかったのできがついていなかったのだろう。今回のメールが本当の内容なのか、風説の流布なのかは確認しないとわからないのですが、いずれにしても株式市場に全く興味がない僕のメールアドレスに突然来たメールだから、spamであることは間違いがない。

実はちょっと嬉しい。いいサンプルだ!

生物学者が、人類に未知の生物を見つけたときって、こんなきぶんなのかと。

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2007年2月 6日 (火)

その後のSPAMメール

相変わらず減らない。2月に入ってからは以下のように推移している。

日付通数
02/01695
02/02753
02/03671
02/04634
02/05709
もう、めちゃくちゃ…

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2007年2月 4日 (日)

SPAMの急増

2007年1月16日、千葉県内のSPAM業者が「2カ月で54億通の迷惑メールを送った」として逮捕されたのですが、この数日後からSPAMの量が急増しています。

Spam0701_1

僕はRBLを利用して、ある程度受領を減らしていますが、それでも2月2日は753通のSPAMメールが届きました。2分弱で1通(言い替えると、1カ月で22000通程度)のSPAMメールが届いているということです。しかも、最近増えたタイプの多くは日本語のSPAMメールです。逮捕事件のあと、SPAMERが反撃に出ているのだろうかと想像しています。

ところで、2月20日に農工大の学内向けに「スパムメールセミナー」を開催します。といっても、セミナーを聞けばスパムメールが来なくなるという話はしません。むしろ、「スパムメール対策に完璧はない」ということを、理由を述べて納得してもらうためのセミナーです。また、スパムメールを他人任せで処理することは絶対にできないということを納得してもらうためのセミナーでもあります。

なお、スパムメール受領を止める決定的な方法は、実は存在します。1つは「メールアドレスを毎日のように不規則に変える」であり、2つ目は「メール利用を取り止める」です。この2つ以外に完全な方法はないといってもいいでしょう。

完全ではないが比較的効果が高い方法としては、Mozilla Thunderbirdなどの「精度がいいベイジアンフィルタを利用するMUA」を利用するという手法があります。OSに無料でついてくるオマケのOutlookExpressはベイジアンフィルタを持っていないので、乗換をしてもらう必要があります。

もう一つは、Gmail, Yahoo! Mail などに転送してそっちで読むという手もあります。しかし、大学職員・大学教員は機密情報を扱っていますので、そんなメールを外部の webmail に転送するのは勧められません。

また、完全ではない方法の場合は、その不完全性ゆえに、「えん罪」で、きれいなメールをスパムメール扱いする危険を覚悟する必要があります。

結局は、メールという便利を享受する以上、何かの負担も強いられるということです。道路法規も知らないで運転したり、シートベルト無しに車に乗ったり、ヘルメット無しにオートバイに乗ったりしてはならないということと、基本的には同じと思わなければならないのです。

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