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2007年12月29日 (土)

「情報リテラシー」その1

もう、かなり昔のことになりますが、京都大学の学術セミナーで高校の情報科と大学の関係について講演をしました。忘れないように…というのはもはや無理なので、覚えている範囲を…と思ってみたのですが、そういえば12月上旬には静岡県立大学で講演をしました。ここで話したことも高校と大学の一般情報教育の関係でした。ということで、この辺で話したことをまとめてblogサイズにコンパクトにまとめてみました。

1. 「メールやwebは携帯電話で十分」と思っている高校生が多いのに、なぜ、高校で教科『情報』を授業で教えるべきなのか?を考えよう。

この問いかけは、そもそも、それ自体に矛盾があるのです。にも関わらず問いかけました。これはつまり「メールやwebの使いかた」を教えるのが「情報」ではなく、情報科学や情報工学、それを支える計算機科学、そこから発展する情報社会学などが本来の「情報」のあるべき範囲です。ですが、現実の高等学校の情報の授業では「パソコンでのメールやwebの使いかた」を教えています。ただ、それに加えてワープロ・表計算などのパソコンでないと使えないことを教えている点が携帯ではできないことだといえます。とすると、「メールやwebは携帯電話で十分」と思っている高校生には、「携帯電話ではできないワープロや表計算を教えることが高校の『情報』の意義である」という結論になってしまいます。もちろんそれでは全然正しくないわけで、その点で「なぜ、高校で教科『情報』を教えるのか」を、改めて問い直す必要があるということです。

ところで、携帯電話用のwebサイトでアフィリエイト広告を利用して月収数百万を稼いだ人がいることは知っています。また、携帯小説の印税で何千万円もの印税をえた人がいることも知っています。ただ、そういう人は携帯電話利用者のごく一部のクリエイティブな才能を持つ人であって、おそらく、それ以外のほぼ全員の利用者は、携帯電話のみを利用して必要な収入を得ることはできないのです。もちろん、コミュニケーションツールとしての携帯電話は非常に優秀です。いままでパソコン・携帯電話のいずれも使ったことがない人でも、数日もすればメールを読んだり、送ったりすることができるようになります。これは、携帯電話のUIが非常に優秀だからだと思います。(パソコンの某OSが駄目駄目だという説もあり、これも納得はいきますが、いずれにしても携帯電話のコミュニケーションツールとしての優秀さは確実です。)

パソコンをつかって教えるべきはパソコンの使用スキルではなく、それを利用してどんなデータを俯瞰するか、どんな情報を得られるか、どんな情報を創造するかにあります。それは携帯電話のようなUIでは簡単に実現できることではありません。(一部の天才的な人なら実現でき、そしてそんな人達が多大な収入を得ます。)

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