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2007年12月29日 (土)

「情報リテラシー」その2・3

2. 技能(スキル)、技術、科学を分けて考えよう。

ワープロソフトを使ってレポートをひとつ作るにしても、技能に分類されるのは、キーボードのタイピングの方法、メニューの選びから、アイコンの意味、編集(コピー&ペースト)の実行や取消などです。一方、技術といえば、仮名漢字変換の技術、アウトラインフォント、画像埋め込み文字のバインド概念などが入ります。科学といえば、文書作成学、文書処理学などが該当します。科学の内容は、10年経ってもほとんど変わらずに通用しますが、技能の内容はOS・アプリのバージョンアップがあると変わってしまいます。ですから、少なくとも学校教育の授業で扱うならば、ごく自然に考えると科学に相当することを教えることを目標にするべきだと(とりあえずは)思います。でも、実はそうもいかないのです。(次の項目に続く。)

3. 発達段階に応じた授業内容を考えよう

情報を学校で教えるならば、経年変化に強い「科学」に該当することを教えるのが最もきれいなのですが、一方で、児童・生徒・学生の発達段階も考慮する必要があります。算数・数学における自然数同士の掛け算は、小学校では九九の表を覚えさせるところから始めていますが、高校では一般的な乗算の性質を証明しながら考える(式の展開や因数分解)ところにポイントが生じます。同じように、ワープロ・表計算の授業でも発達段階を考慮した授業方法があると思います。小学校では体験・経験・感動を重視し、中学校では分類・理由を重視し、高校では証明・知識を重視し、大学では演繹(一般→具体)・適応を重視するようにすればいいのです。もう少し具体的に書くと、小学校では複数メーカーのワープロソフトを使って、世の中のワープロソフトにはいろいろなものがあるのだということを体験的に学び、その体験を通して情報加工の共通部分を知ることが重要。中学校では「なぜここでワープロか?」「なぜここで表計算か?」を正しく述べられるように学び、アプリケーション毎の性質の把握に努めるべき。高校では「文書作法」「情報操作の心理」「プレゼンテーションの一般論」「プログラミングを利用したシミュレーション」「会計入門」という話に入るべきなのです。

現在の「情報」関係の科目は、こういう発達段階ごとの分類ができていないので、小学校から大学まで、同じ時代には同じ内容を教えているように見えてしまいます。これでは、高校で学んできたことを、大学の一般情報教育・高度な情報リテラシー教育につなげることは不可能ですね。

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