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2008年1月26日 (土)

プログラミング・情報教育研究会(そのD)

2008/02/27(水) 18:00開始で、プログラミング・情報教育研究会の第D回(略して『プ会D』)を開催します。

今回は「情報教育と高大連携をさぐる」を主テーマにしています。

高岡 詠子(千歳科学技術大学)
五十嵐 誠(神奈川県立横浜清陵総合高等学校)
小原 格(東京都立町田高等学校)

会場は横浜市内です。詳細は、プ会WEBを御覧下さい。

御参加希望の方は、僕にメールで御連絡下さい。

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2008年1月25日 (金)

教科「情報」の入試

さきほどからblogへのアクセス履歴を見ているのですが、「教科 情報 入試」というのがいつか出てきました。そういえば先週、センター試験が終り、受験生のみなさんは、どこの大学に出願しようかと悩んでいるところだと思います。


中野先生のリンク集をみると、 「教科『情報』で受験できる大学」の一覧がありますね。国立大学では東京農工大学、愛知教育大学、それから奈良女子大学の3つが該当します。奈良女子大学は今年から入試なので過去問はないのですが、愛知教育大学と東京農工大学にはあります。東京農工大学は、工学部の情報工学科のみで、前期試験に出題されますが、物理との選択です。愛知教育大学は、情報教育課程での出題で後期試験に出題されます。


そこで、そのときの問題ってどこかでダウンロードできないのかなぁと調べてみました。残念ながら見つかりませんでした。でも、第1回試行試験のときの報告書のPDFがあるURLがわかりました。

上記URlはもはや無効のようで、アクセスすると 404 Not found となります。でも、それくらいちょっと頭を使えば何とかなるという受験生もいると思います。そういう受験生は、試行試験の問題を見て、受験を検討してみるといいと思います。

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AsiaTeX2008に参加のため韓国公州市へ

昨日(1月24日)から、AsianTeX Conference2008(AsiaTeX08)に参加するべく、韓国の公州市に来ています。

AsiaTeX2008で、特に話題になっているのは、Unicode対応のTeX でした。僕は個人的には ISO-2022 派なので、いまだに Unicode はシンドイのですが、現実にはこの方向で世の中は進んでいるようです。

PS: さすがに TeX は、僕の研究対象ではないので、今回は休暇をとって、自費で参加しています。気楽です。


TeXをご存知ないかたには、AsiaTeXとはなにかという話をする前に、TeXとはなにかという話をしないといけないように思います。僕自身は TeX を使っているわけでなく、TeX にフォーマットを追加した LaTeX を使っています。もちろんLaTeXもTeXの仲間です。たぶん、TeXとはなにかとか、どう便利なのか、とかを説明したくても、blog程度で説明できるものではありません。少しだけ述べるとこんな感じです。

  • 版下作成用のマークアップ言語であり処理系である。
  • 通常のテキストファイルを用いる。
  • ほとんどの場合、無料で使用できる。
  • 僕は約20年前から使ってきて、いまでも使っている。
  • 400ページ位の本でも版下作成可能。
  • 数式の表示がとても美しい。

典型的な初心者用のコードを書くと、こういう感じです。

\documentclass{jarticle}
\begin{document}
\begin{itemize}
\item 版下作成用のマークアップ言語であり処理系である。
\item 通常のテキストファイルを用いる。
\item ほとんどの場合、無料で使用できる。
\item 僕は約20年前から使ってきて、いまでも使っている。
\item 400ページ位の本でも版下作成可能。
\item 数式の表示がとても美しい。
\end{itemize}

\par 典型的な初心者用のコードを書くと、こういう感じです。
\end{document}

これを処理させると、PDFファイルなどを作ることができます。

HTMLの文法をご存知の方なら、理解しやすいと思います。

すでに書きましたが、僕は1999年頃にはじめてLaTeXに触れてから、文書作成はほとんど LaTeX を利用してきました。(そうでなければ、出版社に全部組んでもらっていました。)僕がいた学科では、卒論をLaTeXを使って書いた第1号が僕だったそうです。助手時代には、Unixの使い方とともに LaTeX の使い方も取り上げていました。懐かしい話です。いまでも、TeXが進化していることは、大変心強いです。

もっと、LaTeXの利用者が増えてくれるといいなぁと思っています。使いたい方は、検索してインストール方法を調べてください。

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2008年1月22日 (火)

日経BP「最新情報リテラシー」増刷決定

筑波大学の久野先生、府中西高校の佐藤先生と僕が関わって2006年12月に出版した「最新情報リテラシー」(日経BP)という本があります。高等学校の教科「情報」の資料集、さらに、大学の「情報リテラシー」の授業の副読本、そして、現代の社会人のための情報リテラシーとなるべきトピック集として作ったんですが、うれしいことにまたまた増刷が決まりました。

大学の専門っぽい教科書では増刷といっても数百冊単位なんですが、この本は数千冊単位での増刷ですので、びっくりしています。(ただ、誤解のないように書いておきますが、本体価格は非常に安いんですよ。超お買い得です。)

現在、在庫希少となっている書店もあるようですが、3月には間に合うようになっていますので、教科書指定しようかどうか悩んでいる先生がおられましたら、ぜひ御指定ください。

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2008年1月21日 (月)

本人を確認することは難しい

サイバー大学で、入学手続き時に本人確認を怠っていたことが発覚し、文部科学省から行政指導が入ったとのこと。こういう問題を真剣に考えたことがあるスタッフがいない事務組織だったんだろうと思います。

だからいわんこっちゃない。(以下自粛)

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2008年1月20日 (日)

平成20年度大学入試センター試験の講評速報(?)

もちろん、情報教育屋さんの立場での講評です。あしからず。


  • 現代文
    • 第1問は、狩野敏次の「住居空間の心身論−−『奥』の日本文化」でした。 著作権PDの作品ではなく残念でした。
    • 現代文第2問は、夏目漱石の「彼岸過迄」でした。 著作権PDの作品でした。よかったぁ。
  • 英語
    • 京大の上原哲太郎先生のblogに書いてあった話ですが、情報関係基礎以外の教科・科目で、情報に関する話題を扱うときは、必ず、専門家のチェックを受けるべきですよね。sdsc.edu が実在しているかどうかなんて、調べればすぐにわかることなのに。縦割だなぁ。
  • 数学IIB
    • 第5問「統計とコンピュータ」は、検定教科書では表計算ソフトを使った資料整理などが取り扱われており、センターの出題範囲からも表計算ソフトを使った資料整理は取り除かれていないのですが、今年も表計算ソフトの話題はでませんでした。このまま次の指導要領までつっ走るんでしょうね。
    • 数学IIBの第6問「数値計算とコンピュータ」は、ユークリッドの互除法でした。内容は標準的でよかったと思います。
  • 情報関係基礎
    • 第1問 問1ですが、相変わらず「10進数」という言葉を使っています。早く「10進法」に改めて欲しいなぁ。数学を専門にしたことがある人からみると気持ち悪い。奥村先生のWiKiに、僕も参加して議論したことなんですが……。
    • 第1問 問3ですが、「メールアドレスが通知される」の定義がいまいち不明確です。
      • mew で bcc に指定されたメールアドレス宛のメールは、To を blind-copy-recipients:; として、本来のメールを RFC822 タイプの添付ファイルに入れて送るんで、本来の to, cc に記載されていたメールアドレスは、添付されたRFC822形式の文書内のヘッダとして通知されます。
      • 一方、Outlook Express だと、bccの宛先を envelope-to に設定して投げるだけなので、受け取った側は「なぜこのメールが自分のところに届いたのか?送り間違い?」と悩みます。
      この問題は、OutlookExpressの仕様を暗黙に仮定しています。普段からmewを使っている高校生がいたら、本人は正しく答えているのに、点数が低くなる可能性があります。解釈次第ですが、出題ミスといいたくなるくらいよくない問題です。(特定の教科書を学んだ人だけが有利になる出題はよくないのと同じで、同じ目的でも特定社のソフトを使った人だけが有利になる出題もよくないです。)
    • 第2問も「2進数」って書いてあるなぁ。あれは数じゃなくて状態で、その先をみてもどこにも数(数値)であることを使ってない。また、無理矢理ページ数を減らそうと配置した結果だと思うけど、表1の位置が悪い。p.39の下に空白があるのだから、その分を考えて、表1は問1の下に書くべき。本問で置かれた位置は受験生が混乱する。醜悪だよ。
    • 第3問はコンピュータサイエンスアンプラグドを思い出してしまいました。
    • 第4問は相変わらずでしたね。選択肢に null文字列 がでてきて、ちょっと笑いました。

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「VBAがなくなる」の記事を見て


【2009/05/12 追記2】その後、 「VBAはなくならないらしい」という記事を書きましたので、御覧下さい。


【2009/03/20 追記1】この記事の内容に関連する記事を書きました。


某先生からのタレコミ(?)で、スラッシュドットに 「マイクロソフトは、古いオフィスで作成された文書の読み込み機能を捨てたように、こんどはVBAを捨てる」という記事があるという話を伺いました。記事を見ると「反マイクロソフト」な人達があおっている書き込みが多いようで何が事実かわかりません。そこでいろいろ調べてみました。事実としてわかったことは以下の通りです。

以上のことから予想されるのが次の項目です。ただし、あくまでも予想であって、公式には何もアナウンスされていないようです。

  • VBAは遠からず無くなる。それはおそらく、Microsoft Office 2009 for Windows Vista/XP からであろう。

スラッシュドットの記事は、こういう予想の上に書かれているようです。

ところで、多くの業務で簡単なVBAアプリが使われています。VBAが全く使えなくなるとしたら困りますよね。で、これについては、いろいろな人の意見(予想)を聞いてみたんですが、以下の2つの意見に集約されました。

  1. いままでのマイクロソフトには互換性を重視してきた歴史があるので、そんな「みすみす利用者を困らせるようなことはしないだろう。たぶん、代替手段を提供しVBAは永遠に動くだろう。」という希望的観測。
  2. Office2007(for Windows)では「古いOfficeで作られた文書は読めない」ように作られていた。そういうことを平気でやるマイクロソフトならば、Office 2009 でVBAを一切捨てるということもあるにちがいないという悲観的観測。

さて、実際はどうなんでしょうか?

MSDNに書き込まれた関係者のblogの記事を見ると、"we have no plans to remove VBA from future versions of Office for Windows" とあるので、希望的観測の方が当たりっぽい気もしますが、blogの記事程度の内容は公式発表ではないので、あとからいくらでも覆るでしょうし…。

今後がどうなるか、注視する必要がありそうですね。


ところで、こういう↑ことを書くと、「辰己はどう思っているんだ」と聞かれそうですので、簡単に述べます。

VBAであれMS Officeであれ、それの使い方を覚えさせるような授業ばかりしていると、使い方のバージョンアップに耐えられない硬直化した考え方の生徒を育成してしまい、教育として逆効果。それなら、その時間を数学や日本語の授業時間に使ってしまった方がいい。

でも、VBAをつかおうとも、MS Officeを使おうとも、そこに現れる技術や科学(ここでいう科学とは理系的な科学に限定されるものではなく、それに加えて言語学、コミュニケーション学、メディアリテラシー、心理学、社会科学などの内容も入ります。)の理解を目標として使うならOKだと思います。そういう授業を高校で受けてきた生徒さんなら、後に他の言語を学ぶときに、高校のときの経験が役に立つに違いないです。とはいいつつも、使い方のスキル(技能)ばかり教えてしまいそうな傾向にあるのが、Office系(MSに限らない)でありVBAなのでしょう。罫線が1ミリずれることにうるさい人が情報デザインに無頓着だったりすることもよく見る状況です。

一方、VBAでないプログラミング言語はOfficeなどをコントロールすることを目的にしていません。特に初等中等教育用のプログラミング言語・環境は「実際に役に立つ」ことを目的にしているのではなく、「コンピュータの動作を理解するために役に立つ」ということを目的としています。だからこそ、つまらないスキルを目標とせず、そこから学べる技術や科学、それらの社会的な存在意義を学ぶことができるのです。

Office類・VBAを使って情報教育をする先生はよっぽど気を付けておかないと、生徒に逆効果の授業をしてしまう(アタマが固い生徒を育てる)ことになるのです。

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Spamに見る世相

ここ数カ月に届くSpamの題名を見ていると、home loan とか low rate とかの単語が目立ちます。サブプライムローン破綻問題がニュースになっていますが、Spamの題名にも反映されていますね。しかし、こんなのを見て世相がわかるなんて虚しい。

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2008年1月17日 (木)

プログラミング・情報教育研究会(そのC)

本日開催ですので、ageておきます。


2008/01/17(木) 18:00開始で、プログラミング・情報教育研究会の第C回(略して『プ会C』)を開催します。

今回は「プログラミングの授業」を主テーマにしています。

続・東大理系1年生むけCSスパルタ教育 〜 JavaからRubyへ 〜
久野 靖(筑波大大学院)
簡単に、楽しむプログラミング【アゲイン】
能城 茂雄(東京都立上野高校)

会場は文京区内です。詳細は、プ会WEBを御覧下さい。

御参加希望の方は、僕にメールで御連絡下さい。

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2008年1月12日 (土)

マイクロソフトオフィスで論文を書いていいのか?

僕はマイクロソフトオフィスをほとんど利用していないので実は知らなかったのですが、japan.internet.comの記事によれば「2007年9月に公開された MS Office 2003 SP3 では、古いOffice(Office 97以前)形式の文書の読み込みができなくなっている」そうです。マイクロソフトが述べる表向きの理由は「セキュリティ」だそうです。で、このことについて根気強く苦情を述べた人がいて、そのおかげで、マイクロソフトは公式に謝罪し、古いOffice形式の文書の読み込みを可能とするツールを提供し始めたとのことだそうです。

「古いOffice形式の文書」が一体何を意味するのかはよくわかりませんが、もし、根気強く苦情を述べる人がいなければ、Office 97 以前で作成された文書の一部は永遠に読み出せないままになっていったのかも知れません。(なお、ここでいう「文書の形式」は、たぶんバージョンがあって、拡張子だけでは決定できないはずです、たぶん。つまり、例えば .doc で終るファイルの一部が読めなくなっているということです。)

マイクロソフトは(ISO標準化の承認を得られなかった)docx などの彼等独自の文書形式の利用者を強制的に増やす作戦のひとつとして「古い文書への対応打ち切り」を始めたのではないか?と邪推したくなります。あるいは、本当にセキュリティの問題があったのならば、「マイクロソフトは自社のソフトウェアでつくられたファイルのセキュリティ問題を解決できないほど低能な会社である」といえるかも知れません。

このニュースを聞いて思い出したことがありました。

僕が学部学生時代に Zeit の Z's WORD JG で作成したいくつかのファイルがあるのですが、それらの拡張子 zat, zcd, ztx は、現在、読み出すことができません。Zeitが倒産・解散してしまい、サポートする人が誰もいないのです。ただ、ファイルを調べてみると、 ztx 形式は冒頭に少しだけバイナリが入っているだけで、テキスト部分だけは nkf で読み出せました。しかし、レイアウトやベクトル図形は全滅です。

この状況を前にして「学部生の頃に作ったファイル、いくつかあるんだけど、もう読めないのか」とがっかりする共に、1991年に卒論を書いたとき、 LaTeX にしていた自分の判断の正しさを、いま、改めて実感しています。ちなみに1991年、僕が所属していた学科で卒論を書いた人の半数以上の人は手書き、残りの人は一太郎(Ver. 4)+花子か松、僕だけ唯一 LaTeX でした。

いま、当時の内容を再利用(参照)したくなったとしても、可能なのは僕だけです。卒論の内容を再利用することはほとんどありませんが、それでも題名を調べる必要があったときとか、図書館的なアーカイブとしての意味を考えると、いま、手持ちのソフトで開くことができるというのは非常に重要だと思います。

冒頭の話題に戻ります。

マイクロソフトオフィスで論文を書いていいのでしょうか?いや、論文に限らず、他の文書も同じです。 docxだって、10年すれば捨てられる可能性があるということが、今回の事件で明らかになったことです。そんなことを内緒でやってしまう企業がつくったソフトウェアで、あなたは残したい文書を保存できますか?

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