「VBAがなくなる」の記事を見て
【2009/05/12 追記2】その後、 「VBAはなくならないらしい」という記事を書きましたので、御覧下さい。
【2009/03/20 追記1】この記事の内容に関連する記事を書きました。
某先生からのタレコミ(?)で、スラッシュドットに 「マイクロソフトは、古いオフィスで作成された文書の読み込み機能を捨てたように、こんどはVBAを捨てる」という記事があるという話を伺いました。記事を見ると「反マイクロソフト」な人達があおっている書き込みが多いようで何が事実かわかりません。そこでいろいろ調べてみました。事実としてわかったことは以下の通りです。
- マイクロソフトは「VBAのライセンスは、現在ライセンスを持っている人の継続分以外には販売しない。これから新たに開発する人は、代わりに VSTA, VSTO を使え」と広報していますね。
- 簡単なプログラミング環境として Visual Studio Express が用意されている。ただし、ここでVB, VBA で書かれたプログラムは動かない。
- 本格的なOfficeアプリは、VSTAで作るようになる。ここに VBAのコードを書いて動かすことは可能らしい。(試していないが、そのように読める記述がある。)
- 2008年1月16日に発売された Microsoft Office 2008 for Macintosh では、VBAマクロは動かない。
以上のことから予想されるのが次の項目です。ただし、あくまでも予想であって、公式には何もアナウンスされていないようです。
- VBAは遠からず無くなる。それはおそらく、Microsoft Office 2009 for Windows Vista/XP からであろう。
スラッシュドットの記事は、こういう予想の上に書かれているようです。
ところで、多くの業務で簡単なVBAアプリが使われています。VBAが全く使えなくなるとしたら困りますよね。で、これについては、いろいろな人の意見(予想)を聞いてみたんですが、以下の2つの意見に集約されました。
- いままでのマイクロソフトには互換性を重視してきた歴史があるので、そんな「みすみす利用者を困らせるようなことはしないだろう。たぶん、代替手段を提供しVBAは永遠に動くだろう。」という希望的観測。
- Office2007(for Windows)では「古いOfficeで作られた文書は読めない」ように作られていた。そういうことを平気でやるマイクロソフトならば、Office 2009 でVBAを一切捨てるということもあるにちがいないという悲観的観測。
さて、実際はどうなんでしょうか?
MSDNに書き込まれた関係者のblogの記事を見ると、"we have no plans to remove VBA from future versions of Office for Windows" とあるので、希望的観測の方が当たりっぽい気もしますが、blogの記事程度の内容は公式発表ではないので、あとからいくらでも覆るでしょうし…。
今後がどうなるか、注視する必要がありそうですね。
ところで、こういう↑ことを書くと、「辰己はどう思っているんだ」と聞かれそうですので、簡単に述べます。
VBAであれMS Officeであれ、それの使い方を覚えさせるような授業ばかりしていると、使い方のバージョンアップに耐えられない硬直化した考え方の生徒を育成してしまい、教育として逆効果。それなら、その時間を数学や日本語の授業時間に使ってしまった方がいい。
でも、VBAをつかおうとも、MS Officeを使おうとも、そこに現れる技術や科学(ここでいう科学とは理系的な科学に限定されるものではなく、それに加えて言語学、コミュニケーション学、メディアリテラシー、心理学、社会科学などの内容も入ります。)の理解を目標として使うならOKだと思います。そういう授業を高校で受けてきた生徒さんなら、後に他の言語を学ぶときに、高校のときの経験が役に立つに違いないです。とはいいつつも、使い方のスキル(技能)ばかり教えてしまいそうな傾向にあるのが、Office系(MSに限らない)でありVBAなのでしょう。罫線が1ミリずれることにうるさい人が情報デザインに無頓着だったりすることもよく見る状況です。
一方、VBAでないプログラミング言語はOfficeなどをコントロールすることを目的にしていません。特に初等中等教育用のプログラミング言語・環境は「実際に役に立つ」ことを目的にしているのではなく、「コンピュータの動作を理解するために役に立つ」ということを目的としています。だからこそ、つまらないスキルを目標とせず、そこから学べる技術や科学、それらの社会的な存在意義を学ぶことができるのです。
Office類・VBAを使って情報教育をする先生はよっぽど気を付けておかないと、生徒に逆効果の授業をしてしまう(アタマが固い生徒を育てる)ことになるのです。
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コメント
最初に触れたのがアセンブラだった私は幸せなのかも.
投稿: 三ねんせい | 2008年1月20日 (日) 12:49
引っ張られてやってまいりました。
色々な記事(特にMac版Office2008)を読んでいると、MSがVBAを無くしたいと思っているのは確実ですね。MSがユーザーを古いシステムから新しいシステムに如何にして移行させるか悩みながらも、ばっさりと切ってくるような気がします。
そういえばIMEの実装方法だったかで、Vistaが同じようなことをしていましたね。
私の勤務しているところは工業高校で、教科「情報」は必須でなく「情報技術基礎」で置き換えています。教科の内容が違うことから、アプリケーションの使い方は教えていません。そのことからマクロだろうがVBAだろうが、Officeが無かろうが授業では困りません。
ただ多くの学校では、成績処理や入試処理をVBAで作っていますし、教科情報の内容がアプリケーション教育に偏っているところもあるので・・・外注したから直すのは大変とか、作った人が転勤して居ないとか、何を教えればいいのか分からないと言いだす学校はあるでしょうね。うちの学校の場合は困ったなぁと何人かで笑いながら適当に対応することになるでしょう。マクロやVBAが無くて困るような処理はしていませんし。
実習や課題研究の中で、文章作成に必要最低限の知識やグラフ作成のための知識を教えていますし、教員によってはマクロを使うことを課題研究の内容にしている人も居ますので、まったく教えないわけではありませんが、実習や課題研究の内容は学習指導要領では詳しいところまで決められていないので、無いなら無いなりにやれますから、気楽なもんです。
投稿: あびり亭 | 2008年1月22日 (火) 10:13
VBAがなくなると、高校の現場として
情報の授業には影響ありませんが、
校務として成績処理等に多大な影響が出そうです。
そうなるともしかしたら
バージョンアップせずXPをインターネットにつながず
ローカルで使うことになるかもしれません。憶測ですが・・・
投稿: 吉田 | 2008年1月22日 (火) 20:23
正直なところ、VBAはなくなってほしいですね。
言語仕様が古くて、開発しにくい。(とくに例外関連)
VBやVC#などはExpressなら無料だから、それを入れればいいじゃんといわれそうだけど、
会社などでは勝手にソフトを入れられないです。
入れてほしいといっても、VBAがあるからと言われてしまうんですよね。
なので、いっそなくなったほうが一番うまくいくと思うのです
投稿: いっとん | 2009年12月16日 (水) 19:11