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2008年6月27日 (金)

翻訳された記事の謎

赤字は、誤記訂正のための加筆部分です。


某さんの日記で話題になったことですが、僕が調べたことを書きます。

インターネット新ドメイン、ICANNが是非を問う投票へ

(略)インターネットで使われるドメイン名などの標準化や割り当てを行う民間の非営利組織ICANNのポール・トゥーミー(Paul Twomey)CEOは、仏経済紙レゼコー(Les Echos)に対し、「13億人のインターネット利用者は、2009年初頭から、.com、.net、.orgなどの他に、.love(ドットラブ)や、.hate(ドットヘイト)、.city(ドットシティ)など一般的な言葉を取得することができるようになる」と話した。

現在のインターネットのアドレスを管理するプロトコルである「IPv4(Internet Protocol Version 4)」では、残りのアドレスが2011年までに枯渇してしまうため、急成長する需要の中で、ICANNは対策を迫られていた。 (略)

引用元:AFPBB News
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/it/2409459/3069810
で、「この記事はおかしい。DNSとIPv4が混乱している…。この記事を書いた人はわかってない」と、某さんは批判しています。それはそのとおりだと思うのですが、この記事、いったい誰が書いたのでしょうか?ということで調べてみようと検索してみました。AFPの本社はパリにあるので、フランス語の記事を探してみました。そうすると、
[1] Internet: biento^t des noms de domaine a` l'infini et dans toutes les langues
http://afp.google.com/article/ALeqM5glemM15vjgQi5Ud_qARGkgqYt9WA
を見つけました。しかし僕には「フランス語はようわからん」ので、英語記事を探したら
[2] .love or .hate on the web
http://technology.iafrica.com/news/technology/900964.htm
[3] New internet domain names in 2009: ICANN
http://news.yahoo.com/s/afp/20080623/tc_afp/interneticanndomain
がでてきました。

[1]を見ると、AFPが出した記事には IPV6 という単語はありますが、IPv4 という単語が見つからず、内容はたぶん正しいようです。[2]は、[1]の英訳のようです。IPv4のことが書かれています。一方、[3]は[1]を英訳するときに内容をまとめたもののようです。

とすると、いま話題になっている日本語の記事は、誰かが日本語にする[2]を作るときに、まとめをして分量を減らすのではなく、逆にIPv4のことを加筆して説明を増やそうとして、それを日本語に翻訳したという推測ができます。しかも、そのときに誤りを加筆してしまったのだろうという気がします。ただ、フランス語のほうはよくわからないので「確信をもって」はいえません。

誰か、ことの真相を教えて下さい。


【追記】[2]の記事ですが、今検索しても iafrica.com 以外のものが引っかかりません。この記事は何だろう。ていうか、なぜ アフリカ?

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2008年6月26日 (木)

ルミノドット

ルミノドットという玩具に関する記事を見つけました。

おもしろいなぁ。ラスタ画像のことを説明するアンプラグドなプラグド教材としてはいいかもね。

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2008年6月17日 (火)

『科学技術リテラシー』報告書のPDFが公開されました!

2006年冬から参加させて頂いた、日本学術会議・国立教育政策研究所の「21世紀の科学技術リテラシー像 科学技術の智 プロジェクト」(平成18年度科学技術振興調整費)のサイトで、報告書のPDFが公開されました。

プロジェクトサイト

http://www.science-for-all.jp

総合報告書(PDFの利用ポリシーと、PDFファイルへのリンクがあります。)

http://www.science-for-all.jp/minutes/index6.html

総合報告書は、A4判で251ページあり、PDFは4.4MBありますのでご注意ください。

専門部会報告書(PDFの利用ポリシーと、PDFファイルへのリンクがあります。)

http://www.science-for-all.jp/minutes/index5.html

詳細を見て頂くとわかりますが、営利を目的としない場合には非常に広範囲に利用を認めています。実は、公開ポリシーをどうしようかということが内部で議論になりまして、某会議で僕が「CCを参考にしてほしい」とお願いをしました。そのあといろいろ議論があって、いまの形になりました。

専門部会報告書は、大学の般教の授業の補助資料として使えますので、ぜひ御検討ください。

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2008年6月13日 (金)

【「放送内容を期待する契約」は可能か?】の追記

昨日の最高裁判断についての、自己追記フォローです。

朝日新聞の記事に、すこし細かく書いてありました。

第一小法廷は、取材を受けた側の「期待と信頼」が例外的に保護される場合として、(1)取材に応じることで取材対象者に格段の負担が生じる(2)取材者が「必ず一定の内容、方法で取り上げる」と説明した(3)その説明が、客観的にみて取材対象者が取材に応じる原因となった――の全条件を満たしたときに認められる余地があるとした。

なるほど…。(1)取材されるというのでアタフタと準備しないとだめで、(2)記者さんが「そちらの意図通りに伝えますよ」と約束をし、(3)そして、「それなら取材に応じよう」ということになった…ということが全部成り立たないと駄目というのが最高裁判断なんですね。

ということは、「あのー、辰己さんの○○という本に書かれた内容について話を聞きたいので取材したいんですが、。えええ、もちろん、内容は好意的に伝えますよ」という依頼があったら、「取材に応じたいのですが、たくさん準備しないといけません。それでも取材を受けましょう。」と返事をして、もちろんそれら(やりとりや準備)はちゃんと記録に残しておけばいいってことですね。ここでもし軽々しく取材に応じたら(1)を満たさなくなるので、意図通りに報道されなくても報道側に責任はないというのが今回の最高裁判断といえます。

これは言い替えると、契約単独では縛ることができないということでもあるのかなぁ。取材前に契約をしていても、それは(2), (3) を満たしても(1)を満たせないかもしれないもの。

この件、引続き調査の必要がありますね。

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2008年6月12日 (木)

エクセル de バブルブレーカー

プログラミングの勉強によさげなので、備忘録としてメモします。

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「放送内容を期待する契約」は可能か?

今日、戦争特集番組の編集に関して最高裁判決(読売新聞社のサイト記事)がでました。多くのblog記事では、勝ち負けの結果についてコメントがなされているようですが、この判決で重要だと僕が思ったのは、「取材対象者が取材内容を一定の内容で放送されると期待、信頼したとしても、それは原則として法的保護の対象とはならない」という裁判官の判断です。

これは、報道機関がもつ著作権への制限力は、同一性保持権にも及ぶということなのでしょうか?法律の専門家というわけではないので、素人推量しているような気がしますが、どんなもんでしょ?

で、ここで疑問が一つ。もし、取材を受ける前に、取材内容の放送前チェックと、チェックされた内容の放送が、あらかじめ契約として取り交わされていたとしたら、そのときはどうなるのでしょうか?そもそもそういう契約は無効なのか、有効なのか…。

これまた教えてエライひと…です。


追記の内容を6月13日の記事に書きした。

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総務省は、すばらしい人工知能を作る予算を請求するらしい

昨日(2008年6月11日)の報道(例:時事通信)によれば、総務省は、ブログや掲示板などにある殺人予告や、そのほか危ない書き込みを自動判別する仕組みを考え予算請求をするんだそうです。すごいですねー。「頃せ」とか「ι示」とか「胃って葦」とかもうまく検知してくれるのでしょうか?さらに、危ない掲示の内容を引用したり、フレームの中で見せていたり、逆に文字を画像化して掲示しているものも検知できるのでしょうか?

総務省の中の人の誰が考えたのかわかりませんが、そんなことができるのかどうか、疑問です。どんな人工知能を作るのでしょうか?それって、税金の無駄使いではないですか?

税金の無駄使いではなく、こうすればできる…というのがあるのでしたら、おしえてエラいひとー


ちなみに昨年、韓国で、超大手ポータルを訪問取材したのですが、たくさんの人が雇われていて、みんなで有害情報を目で見て判断して削除・通報してましたよ。その方がよっぽど現実的です。

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2008年6月11日 (水)

情報倫理の研究

僕は、学部学生の頃は数学科にいて、大学院も数学専攻に進み、今でも数学を大切に思っています。ただ、数学というのは究極の抽象化の上に成り立つ学問で、それは、独りの天才が独りで作り上げる理論で世界を構築するということで、まぁ、簡単にいえば僕には数学の才能は十分ではなかったようで、数学の研究は続けられなくなってしまったと、自己分析しています。

一方、大学院学生の頃に学費に困窮した僕は、比較的若い年齢で助手のポストを得たのですが、ちょうど助手だった1993年〜1996年の3年間は、大学ではWWWブームが巻き起こる直前で、みんな右往左往していました。個人的には、1995年3月に大学広報課の校費でサーバー(SS4)を買って、冷房がきついサーバー室で独りで Sun OS 4.1.x をインストールし、ncsa-httpdを入れ、http://www.waseda.ac.jp/ なんてページの最初のバージョンを、これまた独りで作ったりもしました。で、その当時、学生さんたちがいろいろやらかしてくれちゃった(まずいものをWWWで公開)おかげで、センターとしてマナー教育とか、HTMLのガイドライン作成とかを担当することになったのです。1995年11月には、Japan WWW Conference という日本で初めてのWWWの大規模カンファレンスがありましたが、その中で唯一、いまでいう情報倫理・情報モラルに関する発表をしたのは、僕でした。

そのころは、情報倫理・情報モラル、特に情報倫理と教育を結びつけた「情報倫理教育・情報モラル教育」では理系出身の若手は国内には僕しかいないという状況になってしまっていたようで、あちこちでこの手の話をしたり、共立出版なんてやんごとないところから本を単著で出させて頂いたりしました。また、Ethicompという情報倫理…というか、コンピュータ倫理の研究会でも発表とかして、いつのまにかこの分野についていろいろ考えるようになりました。

ところが、僕本人としては、2002年頃から、情報倫理・情報モラル関係の話があまりおもしろくないように感じてきたのでした。原因はいろいろありますが、手短に書くと「次々と来る新人さんが毎年毎年同じことを質問し、同じことで事件を起こし、いつまでも初心教育から脱せられない」ということだったと、自己分析しています。情報インフラに用いられる技術の変化や新サービスの登場に伴う教育内容の不可避な変化はありますが、手法としてある程度抽象化されてしまっているので、学問的な進化もあまり見つからないという状態が続いていました。

ところが、ここ1年ほど、これが面白くなってきたのです。面白さを再発見したのかもしれません。ここには「一つのきっかけ」は存在しませんが、いろいろなことが重なって見えてきた大きな問題点がわかってきたということです。


細かいことは、いつか本(たぶん、共立出版の本「情報化社会と情報倫理」の改訂版)にきちんと書きたいと思いますが、まとめるとこういうことです。

  • 情報倫理・情報モラル・情報危機管理を、発達段階毎に再配置して適正に議論する。
  • それぞれの教育(教える)/学習(学ぶ)の手法を分ける。
  • 観点別評価に馴染むものとそうでないものをはっきりさせる。
  • 時代による不偏性を持つものとそうでないものを分ける。
  • 科学・技術の役割をはっきりさせて、そこから危機管理をちゃんと考える。
  • 情報社会・情報化社会の機能を技術と経済と法の立場で考えられるようにする。
  • 情報モラルの前提に、モラルの重要性を置く。家庭教育の重要性と、実際は機能していないという事実を前にできることを考える。etc....

最近目立つのは、コンピュータ・ネットワークの不適切利用で困りごとがあると、なんでも情報倫理/情報モラルの話題に引っ張り込んでみたり、小学生相手に大学生が学ぶようなことを(ひらがなに書き換えて)教えていたり、その逆で大学生相手に小学生向けの教材を使用していたり、30分もの長い長いビデオ教材を作ったり、実感が湧かないアニメだったり、危機感を感じない演習だったり…。それじゃぁ、何にも進歩がないじゃないですか。

情報倫理・情報倫理教育・情報モラル教育を、もう少し「一人前」の領域にしたいですね。

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2008年6月 8日 (日)

1年ぶりの再会

Windows 版の Safari が出たというニュースをきいて、早速インストールしてみたら日本語が全然表示されず、なんだぁーとがっくししたのが、約1年前。そろそろちゃんと動くようになっているかなぁと思い、今日、XP SP3 にインストールしてみました。表示速度が早くて、とっても快適です。体感速度は、 Safari、Firefox、IE の順ですね。ただ、Safari だと表示が乱れるページがときどきあります。ちょっと悩ましいですね。あと、なぜだかわかりませんでしたが、オンライン版ドリトルが動きませんでした。悩ましい。


【追記】自己フォローですが、今日(2008.6.11)現在のSafari 3.1.1 for Windows には、セキュリティホールがありますので、パッチがあたるまで常用はされないようにお願いします。

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2008年6月 7日 (土)

「授業の最適化」への私論

Okumura's Blogの記事にコメントしようと思ったら、量が増えてしまったので、自分のblogに書きました。


授業でのICT活用の話題と情報教育の話題を混同する人もいるので、注意してこの話を進めないといけないと思いますが、それはそれとしておいといて……

授業のやり方そのものが情報化されていないという点においては賛成ですが、どの授業はどのように情報化すべきかということは、対象領域によって大きく異なりますね。高校生君だと、学んだ領域が広くないから、そこから結論をだしてしまいがちですが、世の中は広いので、彼が思うとおりにいかない領域があるでしょう。

で、高校生でも学ぶ数学の授業の場合だと、板書をノートする時間は無駄ではなく、式変形を自分で身につけるために必要な時間です。一方で、わかりにくい3次元図形の様子などを無理に板書でわからせようとしたり、線形計算(掃き出し法)を過剰な板書でわからせようとするのは、教室にパソコンとプロジェクターが使えない場合の古い方式に過ぎないでしょう。

あと、数学と、【数学的な理解】の授業は異なりますので、そこんところも注意が必要です。数学は学問。【数学的な理解】は実地への応用を向いた「応用数学」ですね。日本はフィールズ賞受賞者を輩出できるのですから、数学教育としては間違ってません。しかし、国民全体の数学活用能力は決して高くない。それは【数学的な理解】をやらずに、学問としての「数学」をやっているからです。(僕が先に指摘した授業は「数学」の授業の例です。)

昔、SSSで「情報教育は情報化されているか」という題名の発表をしました。そこでの分析では、情報化には4つのステージがあって、教具の情報化、過程の変化、目的の変化、教育順序の変化です。PCやネットを使って授業を変化させるのは、そのうち「教具の情報化」の段階にあって、そこから学習過程の変化や、さらに学習目的の変化、そして学習順序の変化まで進むと、ある程度変わったということができると思いますが、一方で、教具の情報化は情報技術に強く依存しているので、日常的な安定が得られていない。結果として、常に教具の情報化に足元をすくわれつつ授業改革を進めていかなければならない、そういう時代が現代なんだろうと思います。


関連するblog記事達

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2008年6月 2日 (月)

プログラミング・情報教育研究会(その10)

2008/06/25(水) 18:00開始で、プログラミング・情報教育研究会の第0x10回(略して『プ会10』)を開催します。

情報系大学におけるロボットを使った組込みシステムの実験カリキュラム
早川 栄一(拓殖大学)
題未定
並木 美太郎(東京農工大学)

会場は国立市内です。詳細は、プ会WEBを御覧下さい。

御参加希望の方は、僕にメールで御連絡下さい。

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