新「高等学校学習指導要領」(案)の情報科関連部分を読む
今朝から、情報処理学会の初等中等情報教育委員会のメーリングリストで、昨日公示された高等学校学習指導要領の案について意見交換をしています。
で、どうなのか?ということですが、情報Aがなくなったことを除くと、現行指導要領と比べて大きな差はありませんが、よく見ると小さなことはコツコツと変わっています。細かいことは奥村先生のblogや中野先生のWiKiにも出ていますが、ここは僕なりの見解を書いてみます。
- 普通教科「情報」
- 社会と情報
- 「情報社会の課題と情報モラル」とあるが、その内容はモラルとはほど遠く、危機管理、法令、セキュリティ中心。
- 情報の科学
- コンピュータの仕組みへの時間配分が少ないような気がする
- データベースをつかった情報喪失を全員が体験するのは困難だと思う。そもそも、データベース自体、高等学校普通教科「情報」で取り扱うのは座りが悪いという意味で難しい。
- スプレッドシートのようなデータを集めて表にしたものを「データベース」と称するなら、中学校までのスキルで十分OK。
- SQLなどの言語を使うことまで考えて「データベース」と称するなら、専門教科「情報」程度に難しい。
- 情報システムとしての側面で「データベース」を考えるなら、利用と影響について実習ではなく、座学と知識で学ぶべきですよね。
- 「各科目は,原則として,同一年次で履修させること。」とあり、高校1年生で1単位、2年生で1単位という受講方法が原則禁止された。生徒指導と密接に関連する「情報モラルの涵養」を考えると、むしろ高校1年〜2年の2年間をかけて学ぶ方がよっぽどいいのに、何故だろうか。
- 社会と情報
- 数学
- 数学Iに統計が入った。案にはコンピュータを使う話はないが、入っても不自然ではないと思います。
- 数学Aに「二進法」が入った。「二進数」ではなく、「二進法」というところが重要。
- 数学B、数学Cにあったコンピュータの活用ががっさりと消えた。(そもそも数学C自体が消えた。)
- 新設の科目「数学活用」では、コンピュータなどを積極的に活用した学習や、コンピュータを活用した問題の解決が重視された。ただし、全体を見ると受講者は極めて少ないと予想。
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コメント
週1の授業はつらいんですよ,生徒に残らないし。というわけで私は同一年次での実施に賛成です。
投稿: わたやん | 2008年12月24日 (水) 00:00
僕は昔「1年次に2コマ連続論者」だったのですが,2年間ゼミの学生をTAとして派遣している学校のようすを見ていて,総合学習と連携した「1,2年次に1コマずつ論者」に宗旨替えしました。
要するに,わたやんさんのような学校も,僕が関係しているような学校もある訳で,それを縛ってしまうのはよくないと思います。
投稿: Johnny 金矢 | 2008年12月24日 (水) 07:23
週1時間は本当になにも残らないし、行事で抜けると終わり。まあ、2時間でも連続だと、行事に関しては一緒ですね。
総合学習との連携ができてTAを派遣してもらえること自体が、原則ではないように思えるので、そうではない学校は、同一年次に履修でいいと思います。
投稿: みどり | 2008年12月24日 (水) 08:02
だから,各学校いろんな特色があるのだから,それを一律に縛ってしまうのはよくないというのが僕の主張です。
投稿: Johnny 金矢 | 2008年12月24日 (水) 10:44
ということであれば「高2・3の分割はやめよ」だけでなく「高1・3の分割は論外」も言ってほしいです。って,ここでコメントするのはちと違うか
投稿: わたやん | 2008年12月24日 (水) 19:27
「各学校いろんな特色=事情がある」のを,(このレベルで)一律に縛るのはよくないと思います。
我々の知らないやり方で,2,3年1コマずつとか,1,3年1コマずつで素晴らしい成果を挙げている学校があるかも知れませんよ。その学校で最も効果的なやり方がそんな形であり得ないとは言い切れません。
でも,指導要領に書かれてしまうと,それには法的拘束力が伴ってしまいます。
規制というか,「学校」指導は必要だと思いますが,それは「学習」指導要領で規定する話ではなく,伝達講習なんかの機会に教科の意義の理解とその実現に最適な方法をとるよう指導するというのが望ましいのではないかと考えます。
投稿: Johnny 金矢 | 2008年12月24日 (水) 20:44