ジョーシン09春 開催
情報処理学会の初等中等情報教育委員会が中心となって毎年1〜2回開催している「高校教科『情報』シンポジウム」略してジョーシン。それの2009年春バージョンである「ジョーシン09春」を開催しました。情報処理学会が主催していますが、高等学校の先生方が参加者の半数を越えていて、しかも、多くの方が情報処理学会の会員でない、異質?のシンポジウムなのです。
今回は偶然にもCECの行事と日程が重なってしまいましたが、一方で、新しい学習指導要領が発表された直後に文部科学省の永井視学官の講演ということもあり、直前に参加事前登録者が急増し、急遽会場を変更せざるを得ないという事態になりました。うれしい誤算ですね。
まずは筧先生(情報処理教育委員会委員長)から、開会挨拶に加えて少し筧先生なりの初等中等情報教育に関する見解。その後、文部科学省の永井視学官からの御説明。安心して伺えました。その後は、文部科学省の教育課程部会の委員をされている滋賀大学松原先生の講演があり、新しい学習指導要領の制作プロセスについて伺うことができました。昼食をはさんで、こんどは、現学習指導要領の基本案を作られた聖心女子大学永野先生の講演と続きました。
講演が一通りおわったところで、こんどはパネルディスカッション。昨年のジョーシン08関西に引続き、司会を担当させていただきました。この話題のパネルディスカッションって、たいてい次のどれかに落ち着くのが通例なのです。
- 親を教育しよう
- 先生への研修を充実しよう
- 国がもっと予算をつけるべきだ
- 配当時間を2単位から増やそう
- 入試に出すべき
- 結論なし
今回は、予算の話は出ませんが、他はおおむね出てしまい、そしてやっぱり「結論なし」で終ってしまった感があります。まぁ、この話題で結論が出るとはとても思えないし、無理に結論を出す必要もないし、仲良し同士の褒め合いにするのも醜いし、さらに最初から「総決起集会みたいな会合にするつもり」はさらさら持ってなかったので、それで良かったと思っています。
ところで、今回のパネルシンポジウムで、改めて深く感じたことを1つだけ挙げるとすれば、それは「高等学校の『情報科』の内容と、大学の一般情報教育の『範囲の違い』がぜんぜん埋まってないどころか、さらに拡大している」ということでした。で、それは中学校「技術・家庭科」と高等学校「情報科」の間にもあって、これまた大変な状況。それは新学習指導要領になるとさらに拡大しそうな感じ。数学や英語などの教科では、高校と大学で学習方法(特に抽象化・具体化の向き)や学習目的(必須の能力獲得、職業に応用できる能力獲得)が違うということはありますが、学習範囲が異なるということはないわけです。そして、その違いがどんどん広がっていて、埋めようもないギャップになってしまいのです。これを埋める一つの手は大学入試センター試験に「情報」を出すことなのでしょうが、実際にそれが難しいし、国立8大学情報入試ワーキンググループの活動も大きな壁に当たって進まなかった。次にありそうなのが高卒認定試験や高大接続テストに出すことなんでしょうけど、これもまだ具体化してませんし…。
なやましいですね。
ところで、今後のジョーシンですが、現時点での予定では、指導要領解説が公表されたあとになるであろうジョーシン09秋を再び東京で、そして、その後の議論の進行をまとめたジョーシン10春を関西で行なう予定です。ただし予定にすぎませんけどね。
写真などは、他の参加者の方のblogを御覧ください。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント