2005年12月30日 (金)

韓国の大学修学能力試験の「情報技術基礎」

先日訪れたソウルのロボット高校で、韓国の「大学修学能力試験」(日本の大学入試センター試験に相当)の話を聞いてきました。某先生が「『情報技術基礎』は、2〜3%程度が受験しているのではないか…」とおっしゃっていました。日本の場合、センター試験の受験者が50万人で、「情報関係基礎」が600人くらいなので、韓国の方が遥かに多くの人が受験しているってことですよね。

それで、長野大学の和田先生が、過去問題が掲載されている中央日報のサイトを教えて下さいました。こりゃすごいので、リンクを張ります。

目次
http://news.joins.com/special/univ2005/answer/
農業情報管理
http://news.joins.com/series/test2005/gictam_agri_jungbo.html
情報技術基礎
http://news.joins.com/series/test2005/gictam_basic_skill.html
コンピュータ一般
http://news.joins.com/series/test2005/gictam_computer.html
水産・海運情報処理
http://news.joins.com/series/test2005/gictam_marine_jungbo.html
プログラミング
http://news.joins.com/series/test2005/gictam_program.html
(以下は、奥村先生のblogに書いたことを自己転載します。)

「情報技術基礎」の画像だけ抜き出すと

  1. http://images.joins.com/news/common_27_1_t_1.jpg
  2. http://images.joins.com/news/common_27_1_t_2.jpg
  3. http://images.joins.com/news/common_27_1_t_3.jpg
  4. http://images.joins.com/news/common_27_1_t_4.jpg
です。ハングルを全く読めないので正確にはわからないのですが、
  • 4番は、何を聞いているのか、気になる。
  • 7番は、bool代数ですね。
  • 8番は、吹き出しの中を見ると「プログラミング言語の特徴」のようです。
  • 12番は、情報と表現でしょうか。
  • 13番は、HTMLですね。文字の大きさを変えるのはh[1-5]ではなくfont=だと書いてありますね…たぶん。
  • 15番は、メディアリテラシーですね。
  • 16番は、一体何をソートしているんだろう…。
  • 17番は、回路図ですね。
  • 20番は、パワポですか…。

日本よりずっと先を行ってるって感じです。orz


【2006/01/02付記】

korea-u 高麗大学の李先生、長野大学和田先生、三重大学の奥村先生と共に、問題を日本語に翻訳して公開するプロジェクトを、始めています。韓国語と日本語の両方ができるというボランティアの方がおられましたら、辰己宛に御一報を。(写真は、あんまり意味がありません。高麗大学の玄関で撮影しました。)

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2005年12月28日 (水)

今年は「プログラミング軽視の影響」元年…か?

11月1日に、東京証券取引所のシステムが誤動作を起こして止まりました。12月8日には、みずほ証券の誤発注問題が起こりました。この二つの事件、偶然か必然かはわかりませんが、同じ東京証券取引所で起こった事件であり、同じコンピュータサービス会社で起こった事件でもあります。

その原因については、いろいろなところでいろいろな意見があります。僕自身もいろいろ思うところがあるのですが、やはり、プログラム作成という行程全体を軽視してきた関連企業の幹部に大きな責任があるのだろうと考えています。最近はCIO(最高情報責任者)という言葉もあります。CIOがしっかりと予算を使ってシステムマネジメントを行なう必要があることはいうまでもないでしょう。

ところで昨日、僕から見ると同じところに根がある事件が起きました。男子フィギュアスケートの採点問題です。

ニュースや新聞記事などを見ると、以下の状況だそうです。まず、「3回転ジャンプは2種類まで2回行うことができる」という採点ルールがある。最終的に2位になった選手(結果としてオリンピック代表になれなかった)は「3回転ジャンプ3種類を2回行った」のだが、それがそのまま加点され、コンピュータのチェックを潜り抜け、「こういうことはあり得ないと思っていた」審判をすり抜け、試合成績として発表されてしまった。

記事などによれば、日本連盟が使用している採点システムには、国際的な採点ルールの一部が実現されていなかったので、人間が誤った採点結果を入力しても、その通りに計算してしまった。「こういうことはあり得ないと思っていたので、システムに組み込んでいなかった」という発言があったが、一方、国際スケート連盟が使用する採点システムはこの採点ルールが繰り込まれているものの『高価』であったとのこと。

フィギュアスケートのルールがどれほど複雑かを知らないので何ともいえないのですが、スポーツ競技に参加している人は、まず頭を使って仕事をしている人を尊敬して、それから高くても「正しいプログラム・システム」を買いなさい。日本では「体育会系」という言葉が「知性よりも気迫・交渉術」と取られている。それは、実はお互いに損なのですよ。

ということで、またまとまりがなくなったけど、この数ヶ月の事件は、今年が、「社会が、プログラムやシステムのことを軽視し続けてきたことの問題が現実になった元年」だということを示しているのかも知れません。ボーイングやエアバス、あるいはJR新幹線などのシステムは、まず安全ありきの元に、多くのコストを使ってでも、ほぼ完璧に作られています。しかし、証券取引所のシステムや、国際スポーツ大会の採点システムになると、そのような完璧さが追い付いていないのかも知れません。例えば、近いうちに、ネットワークを使った行政申告とかも行なわれるようになるでしょうが、くれぐれも、クライアントサイドで計算させるようなモデルにはして欲しくないです。クライアント側の処理系に計算バグがあったりしたら、それだけで大変なことになります。他にも、家電製品、特に熱を出す製品の制御システムも恐いです。


【追記】2005/12/28

その後、新しいニュースが入りました。国際スケート連盟(ISU)が使っているソフトウェアも、そのような加点を防ぐ機能がついていなかったとのこと。そして、それをチェックするために必要な係員が配置されているということ。

驚くべき事実です。そういうルールはISUならソフトウェアに組み込んでおくべきです。パターン認識のような複雑な情報処理ではないのだから、組み込めないはずがない。

また、「ソフトウェア使用の前提である係員の配置ミス」というのは、なんだかなーという気がします。

毎日新聞2005年12月28日3時30分更新の記事によれば「小野部長の最初の説明を聞いたプログラム会社側は、納得できないとの意向を伝えていた」とのことですが、このblogで僕が書いているように、危機管理(この場合は、それをミスすることで被る損害と被害防止にかける費用の問題)を評価し直すべきだったのでしょう。

「オープンソースで開発すれば、こういうことが無くなる」とはいいませんが、スポーツ好きなファンがチェックしてくれる可能性が高くなり、ミスの発見が早くなると思いますね。

当座の結論は「使う前に十分動作テストせよ。」です。でも、根本の原因は、コンピュータソフトウェアがどのようにできているかを知らない人が管理をしてはいけないということでもあります。料理などに例えるとわかり易いでしょうか。料理方法を知らないでレストランの経営をしよう、というほどひどい話です。

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2005年12月26日 (月)

プログラミングの専門家でない人でも、プログラミングの体験が必要

今夜はしつこくもう一つ。

情報処理学会・初等中等情報教育委員会で、 「日本の情報教育・情報処理教育に関する提言2005」 というのを作りました。僕もそのメンバーの一員として提言作成に加わっています。

ここに「プログラミングの専門家でない人でも、プログラミングの体験が必要」と記させて頂きました。さて、提言のの3ページ左上の内容を御覧下さい。この内容は、東京証券取引所、建物設計計算偽装、みずほ証券誤発注、フィギュアスケート点数誤計算の前に書かれたものですが、今になって読んでみると、最近起こっている様々な事件・事故を預見していたかのようです。

提言は、パブリックコメントを求めています。ぜひともお願いします。

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これもプログラム軽視で起こった事件でした。

アサヒコムの2005年12月26日20時31分の記事に、強度計算の偽装を見抜けなかった日本ERIの社長のセリフが出ている。

偽装を見抜くには現在の何倍ものコストが必要だ
全くプロ意識がない。呆れています。

それなら、そのコストを払えばいいでしょ。そのコストを切り詰めるから日本にはプログラムやシステムの検証が商売として成立しない。そして、結果として高くついた(建物取り壊し)わけです。現実認識が全くできていないですね。

また、記事には

業務報告では民間・行政の各機関ともに今回の事件発覚まで、大臣認定プログラムを持っていなかったことも明らかになった。
とあった。「大臣認定プログラム」とは一体何か、よくわからないけど、誰もそれを調べていなかった、チェックしていなかったというのは明らかに人間の問題である。にも関わらず
イーホームズの藤田社長は「106種類ある大臣認定プログラムは、同じ数値を入力しても106通りの結果が出る」と述べ、
という発言を見ると、彼らは自分達の責任をプログラムのせいにすり替えようということでもある。

三重大学の奥村先生が「人間かシステムか」と問題提起されている。 コンピュータプログラムのことを知らない人(専門でない評論家や、煽るだけの報道機関も含む)は、

おかしなデータをそのまま処理するシステムが問題だ!
としたいんだろうけど、実は
  • 61万株を1円と入力する人間
  • 3回転は2種類までしか認めないんだから、それを3種類入力した審判
  • 建築コストを下げてでも利益を出せばいいとする人間
という人間がミス・犯罪をすることを前提として、それに耐えるプログラムを作るべきであった。 言い替えると、
  • 人間が早く安く作って検証もしないでプログラム・システムを現場に持ち込むこと
  • 建物強度計算偽装問題では、そもそもシステムを準備していない、あるいは導入しようとしない、あるいはシステムを信用しないこと
である。つまり、根本の原因は人間にある。

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2005年12月24日 (土)

ソウルのロボット高校を訪問

詳細は、同行された他の方とまとめることにしますが、速報でお知らせします。12月23日に、韓国ソウル特別市にあるロボット高校を訪問しました。「ロボット高校って何?」と思う方もおられると思います。

日本にも工業高校、農業高校、商業高校などの専門高校がありますが、韓国も同じだそうで、それらを職業高校といいます。そして、その「工業」「農業」「商業」の部分が「ロボット」になったものが、「ロボット高校」なのです。

出かける前は正直、「ロボットのことばかりを学んでいる高校だとすればとんでもないなぁ」と思っていたのですが、直接行ってみて納得しました。

カリキュラムの6割は普通高校と同じ全く科目で、まったく同じように授業をしているそうです。そして、残り4割が特徴ある科目になっていて、ここにロボット作りに関する様々な演習などが取り入れられていました。また、韓国では一部の高校を除き高校入試が存在せず(定員を大きく越えた場合は抽選)、希望する生徒なら誰でもロボット高校に入れる。さらに、「一般高校(日本でいう普通高校)」よりも職業高校の方が大学進学率が高いそうです。結果として、基礎学力を維持しながら、ロボットについて学習することができるそうです。

それから、実際の授業の様子も拝見しました。LEGO/Mindstormをつかったプログラミングや、既に完成されている LEGO をつかった製作などが行なわれていました。また、一部の生徒はドリトルをつかって動作原理を学習していました。今後(2年生に進級後)は、自作材料などでロボットを作るようになるのでしょう。

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2005年12月21日 (水)

教育用プログラミング言語に関するワークショップ2006

先日、このblogで予告したワークショップの案がだんだん固まってきました。とりあえず、以下の言語に関する話題を並べる予定です。

ドリトル, Tonyu, PEN, JavaScript, Java, ひまわり/なでしこ, 言霊, Squeak, HSP,Basic, Logo, Rosetta, Lisp, 3Dオブジェクト記述, Mind, C/C++, ActionScript(Flashのスクリプト)

まだ完全確定ではないので、参加希望の方は辰己宛に御連絡下さい。

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2005年12月15日 (木)

ワークショップ計画中

2006年3月29日に東京農工大(予定)で「教育用のプログラミング言語・環境・実践」に関するワークショップを予定しています。特徴は以下の通りです。

  1. 小学校〜大学まですべてを対象にしています。
  2. 単なる講演と議論ではありません。参加者はノートパソコンなどを持ってきて下さい。みんなでプログラムを組んでみるという作業もします。
  3. 報告集は、ワークショップの後でつくって郵送します。
参加されたい方は3月29日は開けておいて下さい。
  • 想定している言語
    C, C++, Java, JavaScript, Lisp, Pascal, ActionScript, ひまわり/なでしこ, ドリトル, 言霊, Alice, Logo, Mind, PEN(DNCL), Squeak, Tonyu, HSP, Visual Basic, ....

「こんな言語を話したい!紹介したい!」という方がおられましたら、辰己宛に御連絡下さい。

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2005年12月 6日 (火)

The British Library

The British Library による蔵書のスキャニングプロジェクトが進行しているというニュースを聞いた。単にスキャンするだけでなく、文字データを取り出すことで検索可能になり、さらに、著作権的に問題のないものについてはインターネットで無料公開するとのこと。番組で紹介されたURLは http://www.bl.uk である。早速見に行ってみたが、どこがそれなのか分からない。Press Release をたどると、Microsoft and the British Library work together to make 25 million pages of content available to all に行き当たった。これのことだ。……

そのあと気がついたのだが、 Firefox on FreeBSD で http://www.msn.com を開いても平気だ。しかし、http://www.msn.co.jpを開こうとすると「お使いの Web ブラウザでは、このサイトが正しく表示されないことがあります。」と怒られた。

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2005年12月 2日 (金)

情報機器の適切な選択 in 年賀状印刷

母から年賀状の印刷について相談?があった。何やら今朝のテレビ番組で「複合機があればパソコンがなくても手書きの内容を印刷できる」と紹介されたらしく、それってどうなのか?という話だった。

そこで、ちょっと考えてみた。

年賀状印刷のプリンタインク代が15円/1枚である。

近所の電器店でパンフレットを入手したところ、ポストカード(写真)50枚の印刷費用は3,838円だった。ただし、こちらは住所などの文字入れが含まれている。

版下を作り、葉書を文具店やコンビニエンスストアの店頭コピー機に入れるなら、白黒で1枚10円である。

改めて母に聞いたところ「裏に最初からイラストが入ってる年賀はがきを買ってきて、手書き(黒)で住所を入れれば十分」とのこと。それなら、持ち込みの葉書印刷を許してくれるコピー機を探して、そこに持っていけばいいということになる。

で、こういう話を一般化?すると、「情報機器の適切な選択」ってことになるんだけど、現在の高校生はどの程度の知識と、知識の運用能力を持っているのだろうかと、少し心配になった。

「少量印刷はパソコン」という固定観念があると、コピー機の利用なんて思い付かないかも知れない。

調べたことはないので知らないのだが、携帯電話などで写真を撮って文字を入れて画像添付メールにして送ると、年賀葉書の裏に印刷して送ってくれる会社とかないのかなぁ…。(当然、代金は携帯電話キャリアが代理回収する。)

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2005年12月 1日 (木)

教育におけるリコール

製造した自動車に製造上の過失があったとき、それを無料で修理することを「リコール」という。電気製品でも同じような話がある。一方、「平成10年から14年に、当病院でカテーテル手術を受けた方、担当医師の手術方法が間違っていましたので、リコールをします。再手術をしますので、病院に来て下さい。」という話は聞かない。あるのかも知れないけど、どうなのだろうか。で、教育の話に持ってくると、「平成10年から14年に、当大学で★▽△概論を受講した皆様にお知らせします。担当教員が間違ったことを教えていたことが分かりました。授業をやり直しますので、大学に来て下さい。」ってことになるのだろう…。

例のマンション問題をきっかけに、教育産業と他の産業の比較をしてみるとおもしろいというか、いろいろと恐いことが分かってきた。(つづくっ!)

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