昨日(2006年12月14日)横浜清陵総合高校を訪問しました。僕はあいにく次の予定(授業)があったので、見学の途中で中座をしたのですが、DTPの授業というのは、予想よりも新鮮でした。
●一般的な操作方法なんて存在しない
表現の工夫に努力するためには、最低でも1つのDTPソフトを使う必要があります。一般的な操作方法ではなく、そのソフトの操作方法を身に付ける必要があります。でも、その授業は、そのソフトの使い方を覚えるのではなく、表現の工夫に費やす時間でした。
もちろん、そのソフトを使いこなせるまでの時間が、今日までの何回もの授業で行なわれてきたことは承知していますが、それを通り越して初めて一般的なソフトの使用方法を身に付けることができるのだ、ということを改めて実感した時間でした。
現在の地球では、右はアクセル、左はクラッチ、真ん中はブレーキという位置を覚えないと、うまく車を走らせることができない(オートマの運転云々は別の話として…)わけです。自動車の機能を一般的に考えれば、アクセルが左、ブレーキが右、真ん中がクラッチでも何も問題はないはずですが、それにこだわることはできないんですよね…。
●3つ折りパンフレットの構造
A4判ヨコを縦に3つ折にして配布するパンフレットを制作する実習の成果を見せてもらいました。作った経験を持っている人しかわからない話ですが、あれは実はかなり大変です。
いま、デザインする6つの面を内側を左からA,B,C、外側を左からZ,Y,Xと呼ぶことにしましょう。なお、AとXが表裏の関係とします。
ABCを上に向けて何かを表現しても、実際には、BとCの間でCを持ち上げて谷折にしてしまうので、AとZが上に向くことになります。そして、AとZの間をAを持ち上げて谷折にすると、Xが上に向いて、これが表紙になります。裏表紙がYです。
この状態で積み上げてパンフレットとして手にとってもらえるようにします。
まず客はXを見て、興味を持ったら中を開きます。ということはXは、興味を持ってもらえるような内容になってないとまずいわけです。
興味を持った客が中を開くとAとZが現れます。ここで情報がある程度具体的に増えてないとパンフレットはここで終りです。
客がさらに開いてA,B,Cを見てくれたら、ほとんどの内容を見せることができます。このとき、BとCだけで美しく見せるのではなく、A-B-Cで美しいようになっている必要があります。この条件を満たしながら、AとZのみが見えているときでも不具合がないようにデザインしておきます。
ほとんどの客は、A-B-C を見たところで折り目に添って元の形を復元して、最後にひっくり返してYを見ます。
ということで、この X, A-Z, A-B-C, X, Y という情報提示の順番と形を美しく、しかもストーリーをもって見せるためには、元の情報を十分に整理しておく必要があります。これは明らかに「情報デザイン」が必要な作業です。(情報デザインというのは、情報提示の順番や見せ方の工夫のことです。「美術的なデザイン」と直接の関係はありません。)
………てなことをちゃんと体験的に勉強したであろう作品が、教室に並んでいました。
つかれたのでこの辺で。
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